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早慶サッカー定期戦直前特集 【第2回】秋岡活哉×宮本拓弥

早慶サッカー定期戦直前特集 【第2回】秋岡活哉×宮本拓弥

 

限られた時間の中で自らの最大限のプレーをすることが求められるサブメンバー。急なアクシデントに対応して、試合の流れを変えるために、または攻撃の切り札として――。早慶戦でもスーパーサブとしての出場が期待されるFW秋岡活哉(政経3=FC東京U―18)、FW宮本拓弥(スポ2=千葉・流通経済大付属柏)のお二人にお話を伺った。

 

 

 

「守備で一番大事なのはFW」

 

秋岡

秋岡

――関東大学リーグ戦(リーグ戦)は2位での折り返しとなりました。チームとしての戦いぶりを振り返って
秋岡 リーグ戦ではいま2位っていう順位につけていますけど、自分たちは優勝しか考えていないですし1位じゃなければ何も意味がないっていう思いで毎試合毎試合望んだ結果が2位という位置だと思うので。また後期も始まりますが、1位目指してやっていけたらなと思います。
宮本 昨季は、FWだったら富山くん(貴光、平25スポ卒=現大宮アルディージャ)とか、中盤だったら島田譲くん(平25スポ卒=現ファジアーノ岡山)とか一人一人の個の質が高いという部分ではことしより上だったと思うので。ことしはそれに比べて一人一人の個は昨年より落ちちゃったのですが、チームワークというかチーム一丸となって戦おうという気持ちが昨年よりあるかなという所で、やっぱり最後の失点の数をみても1とかで抑えているので。アミノバイタルに関していえば、ミスとかもあってやられてしまったのですけれど、リーグ戦に関して言えばみんなで守ろうとか、そういったチームワークがいまの2位という状況につながっているのかなと思います。

 

――チームワークというお話がありました。昨季までの主力選手が抜けてしまったことに対して、チーム内に危機感のようなものはあったのでしょうか

秋岡 ありましたね。実際にシーズン始まる前に監督(古賀聡監督、平4教卒=東京・早実)から自分たちの立ち位置は9位から12位だというふうに言われてシーズンに入ったので。個人として、一人一人が個の質を高めて、昨年のレベルまで上げていくのはもちろんですし、それにプラスしてことしはチームワークというところを特にやっていかないと。そういうところがないと戦えないという意味でいまのチームワークが出てきたのかなというふうには思いますね。

宮本 監督にそう言われた時に、そこでみんなに自分たちはそういうレベルなのだという危機感を持たせてくれました。練習でも全員が100パーセントの力を出し続けていますし、気を抜いている選手なんていないので。チームがいま2位につけているという理由はそこにあるのかなと思います。

 

――秋岡選手は昨季の全日本大学選手権(インカレ)決勝でのケガの影響で今季はベンチ外からのスタートということで、リハビリを乗り越えての復帰となりましたが

秋岡 ケガしたときはほんとに痛かったんですが、あの状況だったのでやらざるを得なかったですし、痛みはあるけどやっていた中、その後は1か月ぐらいホントに歩いたりするのもできない状況になってしまいました。最初はリーグ戦に間に合うかなと思っていたんですが、リーグ戦にも間に合わなくて、リーグ戦途中から復帰する形になったのですが、リハビリしている時は不安な気持ちとか、チームに貢献できない悔しさとかはありました。でも、豪くん(白井豪、平25スポ卒=東京・三鷹)とかケガから復活して活躍した先輩とかもいましたし、しっかりケガしている期間中にパワーアップして復帰できれば、その後も絶対活躍できると思っていたので、そこは切らさずにできたのかなと思います

 

――宮本選手はリーグ戦出場の機会はありませんでしたが、大学対抗Jr.リーグ戦(Jr.リーグ)での出場があったと思います。DF登録にもかかわらずFWで出場されたりもしていました。いろいろなポジションで出場することについてはどうお考えですか

宮本 Jr.リーグはCBで出場したんですけど、それも古賀さんに自分から相談しに行って、DFをやりたいというふうに話してやらせてもらって、一時期はFWからCBになったのですが、アミノバイタルカップが始まる前に監督が自分をFWにもう一回戻してくれて。自分もバック(CB)をやりたいとは言ったのですけど、プレーしていくうちにFWの方が良いという気持ちを覚えてきていて、そこを戻してくれたというのは古賀さんも長年コーチとしてやってきていて、自分のそういった部分を見抜いてくれたのかなと思っているので感謝しています。

 

――昨年のアミノバイタルカップでもFWとして大活躍されました。そこからDFをやりたいというふうになったのには何か理由があるのでしょうか

宮本 高校の時の3年生の時のインターハイでCBとして出場して、そこでチームも成績が良くて3位という結果を残して。そこからCBをやらせてもらって、それがずっと染み付いちゃっていた中で大学に入ってFWというふうに言われて。CBとして入ってきたつもりだったので、自分の中でCBもやりたいなという気持ちが強くなってきていて。FWからCBにしてもらったというのはそういった理由ですね。

 

――今季の早大は失点が少なく、守り勝つサッカーを展開している印象ですが、具体的にどういったサッカーをしていこうという話はあったのでしょうか

秋岡 そうですね、ベースとしては昨季のチームのコンセプトというからは変わらなくて、古賀さんが監督になってからは毎シーズン昨季までのコンセプトに上積みしていくという形でやってきていたと思うんですけど、きょねんも守備をしっかりして、奪ってから早くゴールに迫ることだったり、能動的に相手にプレッシャーをかけてボールを奪ってそこからゴールにつなげることだったりを重視していたので。このチームに一番求められるのは守備だよね。

宮本 守備っすね(笑)。

秋岡 FWだからといって点だけ取っていればいいということでは全然なくて、いかに守備もできて、やらなければいけないチームとしての強みを体現したうえで、オフェンシブな選手だったら自分の攻撃的な仕事をしなければいけないというところが大事だと思っているので。そういった意味で本当に守備がこのチームのベースになっていると思います。それが失点数の低さにもつながっているのかなというふうに思います。

宮本 守備が大事っていう話がでたんですが、いま自分はFWをやらせてもらっていますが、ワセダのコンセプトとしてFWが守備でも一番大事だなと僕は思っていて。守備でもFWがスイッチを入れなかったら後ろもスイッチ入らないわけで、結局はFWが守備をしないとボールを運ばれてしまってどんどんどんどん相手にペースを作られてしまうと思うので。そこを考えて、FWはいつも速いプレスをかけてなんとか後ろを良い状態にして、狙いを定めさせてボールを取らせるようにするという守備を心がけてやっています。奪ってからの切り替えの速さについても、攻守の切り替えの速さというところもいまのワセダが強みとしているところだと思うので、そこも自分たちは味方がボールを奪ったら、自分たちも先手を取って裏を取り行く動きをするように心掛けています。そこは体力も必要ですし、頭も動かさないといけないと思うので、結構大変だと思います。

 

――秋岡選手はリーグ戦中のインタビューで「一試合一試合成長していかないといけない」というお話が古賀聡監督からあったということをおっしゃっていたのですが、今季チームとして成長できた部分はありますか

秋岡 チームとしては筑波大戦(第3節)とか、そのあとの明大戦(第7節)とか、1点差とかの試合をモノにして勝てた試合があったと思うのですがその時に、監督からもワセダらしく戦えたという話があって、そのワセダらしさというのは相手が筑波大や明大のようにうまいチームであっても自分たちのやるべきことをぶらさずに、真面目にひたむきに90分間ボールを奪う姿勢を見せ続けて、守備をしっかりして、少ないチャンスをしっかりとモノにして勝ち切るといったところを大事にしています。そういったワセダらしさがその2試合では結構できていて、その時にミーティングとかでも1試合1試合自分たちが成長して勝っていくことが重要という話をされていたので。リーグ戦は本当に1試合も負けられない状況が続く中で、自分たちが1試合1試合成長しているなという実感は少なからずはありますかね。

宮本 リーグ戦はメンバーに入っていないので、外から見ていて筑波大戦なんかは相手が赤崎選手(秀平)とか上村選手(岬)とか、プロ内定しているトップレベルの選手が多くいる中、1―0で勝てたというのは見ていても危機意識というのはすごく感じられたし、赤崎選手だったらうちのバックラインの奥山(DF政幸、スポ2=名古屋グランパスU-18)とか金澤(DF拓真、スポ2=横浜F・マリノスユース)が絶対仕事をさせないという気持ちで臨んでいたと思いますし、上村選手に関しても相手にボールを持たせないことや自分たちから能動的にプレスをかけてボールを奪うとか、それがワセダらしさなので。そういうところができていたから1―0で勝てたという結果になっていたのかなと思いました。

 

――秋岡選手は尊敬する人に古賀監督を挙げていらっしゃいますが、古賀監督の印象は

秋岡 すごく真面目な人だなというのが第一印象ですね。ピッチの中とかでは厳しい要求とかをしたりする時もありますが、その後の選手へのサポートとかは本当に優しいし、選手の気持ちを分かってくれているなということが多くて。厳しいことを言った後でもその後に優しくサポートしてくれて、信念をぶらさずにやっているなという印象もありますし、生き様で見せてくれる監督なので本当に尊敬しています。

宮本 自分が入ってきた時はワセダの監督がどういった人なのかわからなかったんですけど、最初の印象がすごく真面目だなというのがあって、ワセダのミーティングとか、高校時代とは全く違っていて、監督がこんなにも真面目に喋るのかといった感じで本当にびっくりしました。でも、その中でも古賀さんは真面目ですけどオフの時とかは自分たちを面白い感じにしてくれるんで(笑)。僕たちに絡んだりもするので、オフモードのときはそういったギャップもありますね。真面目ですがそういうところもあって、本当に良い監督だなと思います。

 

――宮本選手は尊敬する人のところで流経大柏高時代の監督である本田裕一郎さんの名前を挙げていらっしゃいますが

秋岡 お前ダメじゃん(笑)。それ裏切りじゃん。

宮本 いや、あのー。古賀さんももちろん尊敬できるんですけど(笑)。流経の監督が会ってみたらわかるんですけど本当に人格者で、オーラもすごくて。例えば、自分が高校の時に代表の監督が流経のグラウンドに来たんですよ。そしたら代表の監督がうちの本田監督に腰を低くして自ら頭を下げて挨拶に来ていたのを見て、この人はそういう人なのだな、そのぐらいの権力者なのだな、と思って。毎週月曜日に本田監督が開くミーティングっていうのがあったんですが、3時間ぐらいずっと喋るんですよ。まぁケツ痛くなるんですけど。でもそこでためになる話をいっぱいしてくれるので、人として成長させてくれたかなと思います。なので、僕にとっては古賀さんとはまた違ったタイプの監督ですね。

 

――古賀監督の印象としてあまり怒らないイメージがあるのですが、声をあげて怒る時などはあるのですか

秋岡 結構あるよね。

宮本 結構ありますね。きょうの練習でも、手を抜いているとかではないんですけど、気持ち的な部分だったり身体が動かなかったりして。いつもよりは強度が落ちてしまったということで古賀さんに厳しい言葉をもらいました。

秋岡 呆れ半分で、「こんなんじゃ日本一なんか笑い草だよ」。みたいな感じで吐き捨てて。「いつやるの?いまからやれるでしょ。グラウンド9時まで電気あるんだから。今やらなきゃできないよ」。みたいな感じの厳しい言葉をもらいましたね。

宮本 あとはラフプレーとかも怒りますよね。

秋岡 そうだね。

宮本 人としてやってはいけないことに対してはすごく怒る人なので。

秋岡 自分もきょねん1回、12月の最後にある東京ユースカップという招待大会みたいなのがあって、その時にちょっとカッとなって思い切り相手の選手を蹴飛ばしてしまって。監督にその場で思い切り怒られて、審判はワセダの人がやっていたので退場にならなかったのですけど、古賀さんにその場で退場させられて。その日の終わりに一年間の締めのミーティングがあったんですけど、「秋岡みたいな選手が出てくるのは先輩たちがちゃんと教育しないからだ」。みたいな感じで全員の前で名指しされて怒られてしまって。その後にやばいなと思って半分泣きながら監督に一人で謝りに行った時に、「謝りに来られるんだからそれだけでお前は大丈夫だよ。これから成長できるから」。みたいな言葉をもらって、本当に感動したし、まずはサッカー選手としてだけじゃなくて人として成長しなきゃいけないんだなということをその時に、自分の苦い経験としてもそこを強く感じたので。尊敬している理由の一つとして人としてとか、人間性とかが素晴らしい人だなと思っています。

 

 

 

スタメン出場への渇望

 

宮本

宮本

――アミノバイタルカップの話に移りたいと思います。まず今季のアミノバイタルカップは7位という結果に終わりましたが、結果に関して率直な感想を聞かせてください
秋岡 優勝しか狙っていなかったのですごく悔しいという気持ちだけです。
宮本 アミノバイタルカップ優勝という目標を掲げていて、7位ということなので。もっともっとやらなくちゃいけないという事がこれで証明されたなという感じなので、総理大臣杯のためにはチームでもっと高めてやっていかないと駄目だなと思いました。
 
――宮本選手はFWとしてアミノバイタルカップで公式戦初出場、続く流経大戦ではゴールも決められましたが
宮本 流経大戦は自分も含めて高校3年間一緒にやってきたメンバーが相手チームに4人出ていて。こいつらには負けたくないなという気持ちが個人的にはものすごくあったので。ああやってゴールを決められたのは良かったのですけれど、チームとしてはその後のPKで負けちゃったので、すごく悔しいですね。

秋岡 宮本は本当にアミノバイタルになるとFWになるなという感じで。昨年も一緒に決勝の時に出たし、ことしも2試合目で点を決めていて。FWになったら絶対なにか結果を残してくれるなというふうに見ていて思うし、大舞台とかでもちゃんと結果を出してくれるので本当にやっていても頼もしいし、実際に点も決めてくれたので、流石だなという印象ですね。

 

――秋岡選手もその試合では得点を挙げる活躍をみせましたが

秋岡 自分も点を取りはしましたけど、勝てなかったので。PK戦に進むために何とか追いつくための点という意味では良かったとは思うのですけれど、その後勝てなかったので悔しいなという気持ちがあります。

 

――お二人とも途中出場での出場が多いと思うのですが、ピッチに上がる準備としてどういったことを意識されていますか

秋岡 結構自分は途中出場することが多いので、慣れてきたというか。慣れることはいいことではないと思いますし、最初から出ることが選手として一番大事なんですけど。でも、やっぱり途中出場から出る選手にも役割はあるなというふうに自分は出ていて思っていますし、スタメンで出ている選手が疲れてきたり、攻撃にアクセントを加えたりしたい時に自分が出て、チームを活性化させたり、ビハインドやタイスコアの状況で勝負を決めに行く時とかに監督に使ってもらって。そこでチームのために仕事ができるというのはうれしいというか、責任を感じながら毎試合やっているという感じですかね。

宮本 身体の準備とかも大事ですけれど一番大事なのは気持ちの準備かなと思っていて、自分は秋岡くんと同じで途中出場が多いですが、後半残り10分だとか20分だとかの時間帯が多いので。その時間帯って勝っている時も負けている時も一番つらい時間帯で、その中で自分たちのようなフレッシュな選手が入って試合を変えないといけないと思うんで。特にFWは試合の流れを変えなくちゃいけないと思っているので、大きなエネルギーをもって臨まないといけないし、それだけ自分が変えてやるという強い気持ちを持って行かないと、飲み込まれて相手にやられてしまうので、強い気持ちを持たないと本当にダメだなと思ってやっています。

 

――今季もFW争いが加熱していると思いますがいかがですか

秋岡 良い選手がたくさんいるので、誰が出ても活躍できるというのがチームとしては理想だと思うので、監督は一つのポジション3人以上が高いレベルで競っていないと日本一にはなれないということをおっしゃっていますし。そういう意味で昨季良いポジション争いができていたのはFWだというふうに言ってくれました。とみくん(富山)も居たし、今はケガで瑛ちゃん(FW片山瑛一、スポ4=埼玉・川越)とかもやってないけど大希くん(FW榎本大希、スポ4=横浜F・マリノスユース)とか上形(FW上形洋介、スポ3=東京・早実)とか俺とか、潤くん(FW山口潤、スポ4=FC東京U―18)とかみや(宮本)とかたくさん試合に絡んでいる選手がいたんで。そういった意味ではことしも良いポジション争いができているのかなと思います。

宮本 逆に自分はCBもやってFWもやっているということで言えるんですけれど、いまのバックラインを替えるってなったらやっぱり2番手の人が出てくるってなりますけど、まだ不安というかそういうのはありますね。FWだったら1年生で山内(FW山内寛史、商1=東京・国学院久我山)だったり、俺だったり、あきくん(秋岡)とかが居て、やれるっていう自信はあるんですけど。ディフェンスだとJr.リーグで一緒に組んでいた小川くん(DF小川弘志、教3=広島なぎさ)とか居るんですけど、昨季から出ている奥山だったり、金澤だったりがケガして居ないという状況になったらまだ不安はありますね。CBとかは選手層で言ったら2番手、3番手が居ないかなというふうに感じますね。

秋岡 実際にJr.リーグとかだと失点も多いですし、もちろんディフェンスライン、GKの問題だけではないと思いますけど、もっともっとディフェンスラインは強化していかないといけないなと思います。

 

――先ほどもお話がありましたが、やはりスタメンへのこだわりというのは強いものを持っていますか

秋岡 途中から出ることが多くて、途中からになるどうしても出られる時間が短くなってしまうので。もっと最初から出ていたら点取れるなと思うこともありますし、得点だけに限らずやっぱりサッカーをやっていたら1秒でも長く試合に出たいし、最初から出たいというのは全員が思っていることだと思うので。自分に足りないものとかをしっかり考えて、スタートから出られるようにというのは常に考えています。

宮本 サッカーやっている以上、スタメンで出たいというのはどこのチームでも同じだと思うので。やっぱりワセダというチームは大学サッカーの中でも存在があると考えたら、出る価値が一番あるチームなのかなと思いますし、出たいは出たいですけどまだそれは古賀さんが見て、自分たちに足りないところがあるということは自分でもわかっているので。スタメンを脅かす存在にならないといけないなとは常々思っています。

 

 

 

 

「点を取るためにサッカーをやっている」

 

秋岡。得点だけでなく、守備面でも期待がかかる

秋岡。得点だけでなく、守備面でも期待がかかる

――お二人のサッカー人生についてもお聞きしたいと思います。サッカーを始めたきっかけというのはありますか
秋岡 幼稚園の年少で始めたんですけど、サッカークラブがその幼稚園にあったのでサッカークラブに入ったのがきっかけです。
宮本 3歳の時の話なんですけど、家に普通の窓ガラスがあったんですよ。俺が駄々こねて普通に寝転がって、足で窓ガラスをパリーンって割ったらしいんですよ。結構ガッツリと。これはサッカーやらせるしかないってなって、足が強かったんで。で、やらせたら結構良かったからというのがきっかけらしいです。
 
――秋岡選手は小学校時代からずっとFWということですが
秋岡 そうですね。一番点も取れるし、わかんないですけどずっとFWやっていましたね。いまも。FW以外やったことないです。
 
――FWへのこだわりはありますか
秋岡 こだわりというかわからないですけどFWしかたぶんできないというか。特化しすぎているというか、FW以外はやったことないですし、たぶんできないと思いますし、FWが一番やっていて楽しいのでこだわりはありますかね。

 

――宮本選手はいろいろなポジションを経験されてきているようですが

宮本 僕は小中高といろんなポジションをやってきたので、一番どこにこだわりがあるというのはいまのところないです。いまはFWやっていて、すべてのポジションをやってきたからFWにしかできない楽しみっていうのがあって、やっぱり一番点が取れるのはFWですし。自分、点取るとやっぱり楽しいなと思って(笑)。

宮本 点取れたらやっぱり一番楽しいし、バックやっていて確かに守ったりするのも大事なんですけどやっぱり点取る人が一番楽しいと思うし。だからたぶん名古屋グランパスの闘莉王選手なんかも点取りに行っちゃうのかなーと思いますね。

秋岡 ちょっと格好いい事言っていいですかね。たぶん俺は、点取るためにサッカーやっているなっていうのがあって。ちょっとこれは書いておいてください(笑)。

でも、実際点を取ったらその日はチヤホヤされるし、次の日ぐらいもハッピーな気持ちだから。この間の流経戦は負けちゃったから結構悲しかったですけど、リーグ戦の国士舘大戦(第11節)なんかは復帰して決めたゴールだったというのもあるし、リーグ戦で点を取るのも難しいので、点取った時はサッカーやっていて良かったなというふうに思いますし、そのためにサッカーやっているのかなと思います。

 

――自分の武器はどういうところだと感じていますか

秋岡 自分はそんなに特にないですが、ゴール前でのアクション、動きだしとかはDFの裏を取って一番嫌な位置で受けてゴールを決めるために動いたり、クロスにニアやファーでしっかり入って点を決めるだったり、自分一人でドリブルして突破してかわして点取ったりできないし、相手を抑えて反転してシュートとかも得意じゃないし。いかにボールのない時に動き出して、ボールを受けた時には点決めるだけみたいにしないと点も取れないので。そういうところを集中的に伸ばしてやってきたので、結果的に強みになってきているのかなと思います。

宮本 空中戦の競り合いは最近自信ついてきて、どんな相手でも負けないなと思ってやってます。あとは自分の身体を生かした対人プレーも結構得意としています。でもこの身体のわりには腕が細いので、最近筋トレしてます。

秋岡 いいよ、しなくてもう(笑)

宮本 いや、やっぱりルーニーやイブラヒモビッチ見ていても腕強いなって思って。片腕でなぎ倒すような力があるので、そういう力欲しいなって思うので、もっと磨いていこうと思います。

 

――目標にしている選手はいますか

秋岡 インザーギ選手は本当に憧れというか目指している選手でありますし、身体も強くないし足もそんなに速くないけど、ゴールへの嗅覚とか点取り屋っていうイメージで、オフサイドラインぎりぎりで駆け引きしたり、点取ったらめちゃくちゃ喜ぶゴールパフォーマンス見ても、点取るためにサッカーやってるんだなって思うし、一流の選手なので憧れます。

宮本 サッカー選手全部尊敬してます。FWだったら自分が目指すのはルーニーかなと思います。シュートのダイナミックさがすごいし、あんまり強く蹴ってないのに思いっきりすごいシュートだったり、インパクトがあって。自分は両足とも同じくらい蹴れるというのも強みにあるので、真似していきたいです。試合結構見てますけど、本当にすごい選手ですね。

秋岡 十分お前もすごいよ(笑)。みやは右も左もキックがすごいので、FWやったら相手を仕留める蹴り方で縦回転の球蹴れるし、CBだったらバックスピンでフィードの蹴り方でロングボール蹴れるので。両方蹴れてほんとすごいって思って見てます。けど左の方が強いんじゃない?

宮本 自分右利きなんですけど、左の方がコントロールが良いですね。

 

――サッカー選手のプレーを見ていて、真似してみようとかっていうのはありますか

宮本 ワセダ来てからはあんまりやってないですが、2002年のW杯でベッカムがPKをインステップ気味で蹴って相手の逆取ったやつとか、めっちゃ蹴り方真似してやって、普通にGKに取られて恥かいたりしましたね(笑)。

秋岡 真似するっていうよりは自分のプレーの参考にするっていう感じですね。たとえばゴール前でどう動き出してるとか、相手のマーク外すときに実はその前にわざとDFにぶつかって距離空けてフリーになるとか、そういうの見てます。この間はFW佐藤周作(文構4=東京・早実)くんがCL見てて、自分は気付かなかった部分を教えてくれて、「俺も真似しよー」って言ってて。全部自分のプレーの参考になるように見てたつもりだったけどまだまだだなって思いました。

 

――秋岡選手はケガの様子はいかがでしょうか

秋岡 膝の内側副靭帯を痛めました。法大戦の前日に練習で接触して痛めて歩けなかったんですけど、次の日が大事な試合だったから何とか出たくて。でもその結果として自分が出てから2失点して逆転負けして、申し訳なかったです。青学大戦は監督から電話があって、自分のコンディション考えて今回はチームサポートに回ってもらうからって言われました。全治1週間くらいで軽度のケガって言われたので、確かめながら復帰していこうと思っています。

 

――ワセダに進学した理由は

秋岡 家族がみんな早大出身で、気付いたらワセダに入るもんだと思ってて附属だったので何も考えずに進学しました。昔から早慶戦見たときに、応援団の方が一番前まで連れてってくれたりして。大学のサッカー部でサッカーしたいっていうのを高校の面接では言いました。まあでもユースに入ったので高校の部活ではやらないことは伝えましたが、それでも入れてくれたので、いまちゃんとワセダでサッカーやる約束が守れてよかったです。

宮本 最初大学という選択肢があんまりなくて、けどワセダがスポーツ推薦で取ってくれるというのを監督から聞いて、プロ志向だったのですぐに行きますとは言えませんでした。親や明大に進んだ兄に、ワセダは筆記で絶対行けないからって言われました(笑)。小さい時から知っている有名な大学に行ける機会なんて逃したらないし、サッカーも名門で、こういうところでやりたいって思えました。

 

――オフの日は何をして過ごしていますか

秋岡 家でゴロゴロしていることが多いです。授業も減って学校に行く日も少なくなったし、練習以外はゴロゴロしてますね。もちろん誘われたら遊びに行きます。

宮本 火曜にきつい練習があるので月曜あんまり遊ばないですね。

秋岡 そうなんだよね。はっちゃけるなら日曜の夜って感じです(笑)。

 

――お二人の趣味は何ですか

宮本 俺はベタに映画鑑賞です。新宿の映画館に結構いますよ(笑)。

秋岡 何見るの?(笑)

宮本 最近はクロユリ団地見ようかと思って。怖いの苦手なんですけど行きます。

秋岡 誰と行くの?

宮本 山本(DF山本有一、人2=神奈川・桐蔭学園)っす。

秋岡 (笑)。それ全然ダメだわ。女の子と行けよ(笑)

 

――秋岡選手の趣味は何ですか

秋岡 家にいることが好きなので、金魚を鑑賞するのが好きです。根暗みたいだから嫌なんだけど。じいちゃんとばあちゃんが1階に住んでるんですけど、そこだけで水槽が4つとかあって、いろんな魚がいるんですよ。幼魚が生まれたら、水槽の中に小さいスペース作って、食べられないようにして、専用のエサあげたりして…。なんかガチで育ててますね。いま金魚見るのが楽しいかも(笑)。

 

――J1・大宮の富山選手の活躍ぶりを見ていていかがですか

宮本 すごい刺激になってます。この間は脳震とうになっちゃってて心配しましたけど…。ああいう人と一緒にやってたんだって思ってすごいなと思います。

秋岡 一緒にやってた人がJリーグで活躍しているっていうのは刺激を与えてくれるのと同時に、自分も頑張らなきゃっていう勇気もくれます。とみくん(富山)は大学で決めれなかっただろっていうゴールもばんばん決めてて、あの人やっぱりすごかったんだなって思います(笑)。

 

――お二人は学年違いますが、先輩後輩の仲は良いですか

宮本 先輩後輩ですけど、ワセダは本当に先輩後輩のカベが全然ないですね。みんなとしゃべれる。

 

――ではお互いの印象を聞かせてください

宮本 えー俺からすか!うーん、いや、でも…

秋岡 『でも』って何だよ(笑)

宮本 あきくんはしゃべりやすいですよ!そういう雰囲気を出してくれる人です。自分からあんまりぐいぐい行けない人もいる中でもあきくんは話しやすいですね。

秋岡 マツ(GK松澤香輝、スポ3=流通経大柏)とかは行けるの?

宮本 マツくんは行けます。けどたまに怖いんですよ(笑)たまにですけど。

秋岡 八角(DF八角大智、社2=流通経大柏)は?

宮本 同じ2年なんですが、高校時代は1個上だったんで俺いまだに『八角さん』って呼んでます。みんなからいい加減『ハチ』って呼べよって言われます。なかなか言えないし敬語になっちゃいますね。急に俺がタメ口聞いたら向こうも絶対動揺するよ(笑)

 

――秋岡選手から宮本選手の印象は

秋岡 頼りになりますね。サッカーでは出てきてくれたら頼りになるし、すごいポテンシャルのある選手なので、もっとみやを生かしたいと思いますし、気さくな一面を持ち合わせたかわいいやつなんで、今度めしにでも連れて行ってやろうかなと。

 

――秋岡選手は政経学部ですが、授業は大変ですか

秋岡 結構大変ですね。友達にしっかり頼ったりしてます。政経入った以上、ちゃんと学業もやらないといけないと思うので、サッカーと両立して頑張れたらと思います。

 

――宮本選手はいかがですか

宮本 スポ科は一番楽だと思います(笑)。けどたまに授業聞いていても何言ってんだろってわかんないときもあって、そのときは課題がきつくて、1回1500字のレポートがあって。

秋岡 1500字ってそんなに多くないだろ(笑)

宮本 俺みたいなやつは大変なんですよ!商学部の堀田(MF堀田稜、商2=浦和レッズユース)に聞いたら、俺はいくら読んでもよくわかんないのに、そいつは10分とかでわかってて、いやーあの時は助かりましたね(笑)

 

 

 

 

チームを勝利に導くゴールを

 

宮本。強靭なフィジカルを生かしたプレーは相手にとって脅威だ

宮本。強靭なフィジカルを生かしたプレーは相手にとって脅威だ

――では早慶戦へ話を移したいと思います。秋岡選手は昨年、早慶戦のピッチに立ちましたが振り返っていかがですか
秋岡 本当にあんなにワセダとして戦える舞台は無いですし、あんなに大勢の人の前でサッカーをできることも幸せなことなので、ことしも早慶戦に向けて特別な思いでやっています。昨年少しだけピッチに立ちましたが、他の試合とは全然違うものだったし、あの舞台で活躍してワセダを勝利に導くことが憧れでありますし、ことしも頑張っていきたいと思います。
 
――宮本選手は昨年はメンバー入りはできませんでした
宮本 とみくん(富山)がケガしていて、自分は前日くらいまでメンバー入りするかわからない状況で。結局出れなかったんですが、スタンドで見ていてお客さんの数が普段のリーグ戦と比べたら全然違うし、あの雰囲気でサッカーをやれるのはすごくいいなと思いました。ことしもわからないですが、このまま維持して絶対メンバー入りしたいと思います。
 
――国立競技場に何か思い入れはありますか

秋岡 特別な思い入れはないですが、高校時代に高円宮杯の準決勝で貴司(MF近藤貴司、教3=三菱養和SC)と敵チームで対戦して、1点ずつ取って。しかも自分のチームはずっと無失点できてたのに貴司に初めて点を入れられてっていう思い出があります。やっぱり国立競技場は日本の中でも特別なスタジアムですし、そこでできることは幸せなことだし、そのことに感謝して責任持ってやらなきゃいけないと思います。

宮本 高校2年の冬の選手権で準決勝で負けて、まだ国立で自分が出て勝ったことが無いので、そこで勝ちたいなっていうのはあります。あとはあの雰囲気は他のスタジアムと全然違うので、国立入るだけで違います。あー聖地だなって思います。

 

――慶大の印象は

秋岡 一緒にユースでやっていた武藤(武藤嘉紀)もいますし、上手い選手も多いです。高校からワセダで、エンジの誇りも自分にはありますし、慶大には負けたくないって思います。

宮本 自分もワセダに入って、やっぱり一番負けたくない相手って慶大なんですよね。早慶戦自体も、慶大もワセダにすごいライバル意識持ってますし。近藤貫太選手は高3のときに代表で一緒だったんですけど、話してても絶対ワセダには負けないって言われたりします。他のチームに負けちゃいけないのもそうなんですけど、慶大には負けられないですね。

秋岡 ことしの目標にも、関東リーグ優勝、総理杯優勝に並んで、早慶戦全勝っていうのがあります。この前の練習試合で引き分けてしまったんですけど、それで全勝の目標は潰えてしまったってがっかりしましたし、そういう相手なんだと感じています。

 

――早慶戦ではどんなプレーをしたいですか

秋岡 もう点取りたいです。点取ってヒーローになりたいです。普段リーグ戦とかだと見に来ない友達とかも、早慶戦だったら見に行きたいなって言ってくれるっていうことは、それだけの価値があるものなんだと思うし、お金払って見に来てくれるんで、点取れたら最高ですけど、それ以外でも全力で走ったり、ボール追い掛けたりして、見ている人に少しでも感じてもらえたらなと思います。自分も頑張らなきゃなって思わせるようなプレーをしなきゃいけないなと感じています。

宮本 中学の友達とか、自分が本気でやってることを見たことない人が早慶戦ならお金払って見に来てくれるって言ってるんで、本気の姿を見せたいし、自分がこういうところでサッカーやってるんだっていうのを見てほしいです。

 

――ことしのMVP予想は

秋岡 自分です。出る以上そういう気持ちでいますし、昨年上形が取ったときも来年は絶対自分が点取って勝ってMVP取るって思ったので、ことしは取りたいです。

宮本 うーん、誰だろう…。ことしは大希くん(榎本)かなと思います。

秋岡 やっぱり最初から出ている人が取る可能性は高いなと思います。だから理想としては、0―0とかビハインドの状況で出て、自分が2点ぐらい取って逆転して勝つっていうのがいま思い描いているプランです(笑)。

 

――『最後の国立』ということですが

秋岡 毎年国立でやってきましたし、早慶サッカー=国立って感じだったので、ことしで最後なのは残念だし、だからこそ2万人動員を目指して広報の森岡さんを中心に、ア式はみんな多くのお客さんに見てもらいたいって思って、サッカー以外の部分での活動も徹底してきましたし、たくさんのお客さんに来てもらいたいです。みんなにも盛り上がってもらいたいと思います。

宮本 自分の中ではことしはチケットを買ってくれる人が昨年よりも多い印象で、やっぱり『最後の国立』っていうのもちょっとは関係しているのかなと思います。OBの方の期待度も高まっているのかなと。

 

――お二人とも点を取る姿を見てほしいとのことですが、どんな形のゴールというのはありますか

秋岡 点取れれば何でもいいなと思いますが、やっぱり点取っても勝てないとMVPにはなれないし、喜べないので、自分が点取って勝つのが理想です。チームを勝たせる、勝利に導くゴールを決めたいと思います。

宮本 自分も出たら点取りたいですが、自分は一つ思い描くプレーがあって(笑)。自分がシュートを打って、それをGKが飛ぶんだけどその手をかすめて入っちゃうみたいなゴールが最高かな(笑)。振りぬいて決めれたら良いですね。

秋岡 みやは振り抜けるというか、持っていき方とか自分のリズムでドリブルして振り抜いて蹴れるところも魅力的だし、強みなので生かしてほしいですね。

 

――最後に早慶戦に向けて意気込みをお願いします

秋岡 自分が活躍している姿を友達だけでなく、家族や支えてくださった人たちに見てもらって、早慶戦で活躍することで恩返ししたいという気持ちが一番あるので、がむしゃらに頑張って、見に来てよかったと思ってもらいたいです。それでワセダが勝てば最高なので、学校の代表として絶対に勝ちたいと思います。

宮本 迫力のあるプレーをしてそれを見てもらいたいです。昨年に続いて早慶戦2連覇を目指してやっていきたいと思います。

 

――ありがとうございました!

 

 

 

(取材・編集 石原瑞季、市川祐樹、下村龍史)

 

 
 

秋岡選手(左)と宮本選手

秋岡選手(左)と宮本選手

◆秋岡活哉(あきおか・かつや)
1992(平4)年7月31日生まれ。175センチ、68キロ。東京・早大学院高出身。前所属・FC東京U―18。政治経済学部3年。早慶戦では「とにかく点を取って、MVPを取りたい」と並々ならぬ熱い思いを語ってくれた秋岡選手でしたが、最近の趣味は『金魚鑑賞』という意外な一面も。金魚鑑賞についても熱く詳しく話してくれました
 
◆宮本拓弥(みやもと・たくや)
1993(平5)年5月21日生まれ。182センチ、82キロ。千葉・流通経大柏高出身。スポーツ科学部2年。サッカーを始めたきっかけを尋ねると、3歳の頃の窓を蹴破るという驚異的な足の強さのエピソードを話してくれました。宮本選手の強靭な身体はどうやら生まれつきのようです