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早慶サッカー定期戦直前特集 【第1回】奥山政幸×金澤拓真

早慶サッカー定期戦直前特集 【第1回】奥山政幸×金澤拓真

 

今季からセンターバックを組む2年生コンビ、DF奥山政幸(スポ2=名古屋グランパスU-18)とDF金澤拓真(スポ2=横浜F・マリノスユース)。下級生ながらディフェンスラインを統率し、関東大学リーグ戦(リーグ戦)でのリーグ最少失点という結果を残している。二人がそろって国立のピッチに立つのはことしが初めて。伝統の一戦を待ちわびるその心境に迫った。

 

 
 

「リーグ最少失点はチーム全体で出した結果」

 

奥山

奥山

――リーグ戦2位ということですが、振り返ってみていかがですか
金澤 始動した当初は、監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)の方から9位から12位の立ち位置のチーム状況という話があって。それを全員で真摯(しんし)に受け止めて、オフシーズン競争が激しい中でスタメンであったり、ベンチの18人というのを争いました。のぞくん(MF池西希、スポ4=浦和レッズユース)やミサくん(DF三竿雄斗、スポ4=東京ヴェルディ―ユース)から1試合の重みというか、優勝するために1試合1試合に対する強い気持ちを相手以上に持って、全力でぶつかっていこうという促しもあって。4年生を中心としたチーム全体の取り組みが9位から12位と言われていた現状から2位に位置づけられた原因になったかなと感じています。ですけど、引き分けた試合であったり、負けた試合であっても、それを1個上の、引き分けを勝ちにだったり、負けを引き分けにだったりできた試合だったと思いますし、そういった意味では1位になれたのに、2位になってしまったという印象を持っています。

奥山 拓真(金澤)も言いましたけど、リーグ戦始まる前、オフシーズンの時点では9から12位が自分たちの力という話があって。オフシーズンの試合もすごいたくさん失点して、調子狂って勝てなくて苦しい時期でしたけど、4年生のミサくんだったり小松くん(MF小松聖音=北海道・札幌光星)だったりが中心となって、たくさんの課題を全員で解決していったというところを真面目に取り組んでやった結果、最少失点という結果に表れました。順位としては1位じゃなければダメなんですが、それに一番近い2位を取れたというのは、満足はしていないですけど、悪くはないかなという印象があります。

 

――リーグ戦では失点が極めて少なくDF陣としては満足いく結果のように見えました

金澤 そうですね。失点に関してはリーグ戦で1試合2失点以上許していないというのはそうですし、守備の手応えは感じています。ですがそれは自分たちDF陣だけの力ではなくて、前線のFWから守備に全力で取り組んでくれて、自分たちが守備しやすい状況を作ってくれているからこその結果だと思います。自分たち守備陣というよりはチーム全体で出した結果なのかなと思っています。

奥山 そうですね。うちのチームは守備をベースとしているチームということで他のチームに比べてFWの選手が真面目に守備してくれますし、全員がハードワークできるので。自分たちが楽をして守備ができるというかすごく負担が少なくて、自分たちがやられても最後マツくん(GK松澤香輝、スポ3=千葉・流通経大柏)というすごい大きい存在がいますし、ボランチの2人が能動的に動いて守備をして攻撃にもつなげてくれているので、最少失点という結果が表れたのかなと思います。

 

――お二人がCBを組み始めて半期過ぎましたが連携面は

金澤 良くなってるよな?

奥山 なってるなってる(笑)。始めが悪いとも言わないけど。

金澤 もともとタイプ的にも全く別の選手だと思いますし、そういう意味でやりやすさは感じていました。自分が少し相手に対して強くいくタイプで、政幸(奥山)はいろいろ気をつかってこまめにカバーリングしたりして冷静にプレーできる選手なので。自分としてはやりやすさもともとあった上に普段から一緒にいる時間も長いですし、寮もそうですけど(笑)。そういう面で恵まれているというか、連携面という意味では普段から一緒にいる分改善できてきた部分は少なからずあると思いますね。

奥山 まあ、とりあえず一緒にいる時間がピッチ内外問わず長いので、本当に(笑)。

金澤 いつも自分の部屋にいるんですよ!寝るとき以外は自分の部屋にいます。学部も同じですし、活動時間も一緒なので、一日ほとんど一緒にいるような感じで(笑)。

奥山 必然的にいろいろと深まる部分は多いです。

 

――お二人とも身長、体重など体格面では似ている選手だと思いますが、自分たちの強みは何だと思いますか

金澤 機動力が自分たちの売りだと思っていて、そういった意味では相手が小さいFWだったり動きだしを得意としているFWだったら絶対に自由にプレーさせたらダメだよねっていう話しはしていますね。前期の慶大戦(○2-1)みたいに深さを使ってパワープレーをしてくるチームに対しても、DFラインのカバーの意識だったり、ボランチの選手のカバーリングの意識が高いので、自分たちは高さについてネガティブには捉えていないですし、むしろこの体の利点を生かしてチームに貢献できたらなと思っています。

奥山 もう全部言われちゃって(笑)。特に俺からはないです。

金澤 (笑)。

 

――機動力というお話しがありましたが、奥山選手は前線への切り込みを得意としていて、金澤選手もアミノバイタルカップからそのような攻撃参加も目立ってきました。攻撃面について考えていることは

金澤 政幸は昔からそういうのうまいじゃん(笑)。自分は昔から苦手で、むしろ攻撃的な貢献度が低い選手で、自分でも自覚してましたし。隣で攻撃を得意としている政幸がいたり、1年生のDF平澤俊輔(スポ1=JFAアカデミー福島)だったりといった選手が身近にいるので。自分としては自分もそういったプレーができるようになりたいといつも思って見てるし、自分に足りないものを吸収しようという意識はこの組織に入ってからほんとにいろんな特徴を持つ選手がいる中で常に考えていることでもあるので。そういったものを試合に表現できるようになってきたというのは自分にとっては成果だと思いますし、もっとゴールに直結した結果につなげていきたいですね。

奥山 結構自分が敵陣に侵入する場面は多くて、自分が好き勝手できるのはバランスをいつも拓真が管理してくれていて。そういった意味では感謝というか…(笑)。

金澤 (笑)。

奥山 当たり前のことを当たり前にやってくれるから。だからこそ自分が何回でも自信持って前に関わっていけるなと思っていますし、自分が攻撃参加した場合にボランチの二人もリスク軽減に尽力してくれていますし。まあ、そういった自分の攻撃できる場面ではみんなの心遣いがあるなと感じています。

 

――奥山選手から見て金澤選手の良いところはどんなところでしょうか

奥山 拓真は、とりあえず体が強いです。こんな小っちゃいですけど。小っちゃい中でも180センチあるような選手にも競り勝っちゃうので、そういう強さっていうのは自分は全然ないので、よくそんなデカい相手に勝てるなあという感じですね。競り合いのときとかボールしか見てないらしいんで(笑)。いっちゃ危ないと思うところも突っ込んでいけるところが、すごいなと思います。そういうところが点にもつながってるのかなという感じですね。

金澤 怖いっていう概念がないからなあ。

奥山 それがおかしいんだよ。

一同 (笑)。

金澤 それこそGKやってたからだと思うんですよね。GKも突っ込むんですよね、1対1になったら。そういうことをやっていたから何も怖くないですね。あんまり怖いっていう感覚はないです。

 

――ここからは少し個人のお話に移りたいと思います。奥山選手は昨季から試合にレギュラーとして出場されていますが、チームとして変化したところは

奥山 どうでしょう。きょねんはトミくん(富山貴光、平25スポ卒=現大宮アルディージャ)とかゆずくん(島田譲、平25スポ卒=現ファジアーノ岡山)だったり、畑尾くん(畑尾大翔、平25スポ卒)とか順平くん(菅井順平、平25年スポ卒)とか、個の力で打開できるというか個の力で試合を決められる選手がすごく多くて、きょねんのインカレ決勝なんかはトミくんのゴールで勝ったりしてますし。そういう中でことしのチームは個の力はそこまで大きくなくて、でもその分チームワークというか組織力というのはきょねんより感じています。もちろん個の力を高めることは重要ですが、そう簡単に組織力も高められるものではないと思うので。それは下級生の意見も取り入れてくれる4年生の作ってくれた環境もあると思います。自分たちに思いっきりやらせてくれるところとかはきょねんから変わったかなと思います。

 

金澤

金澤

――金澤選手はきょねんはリーグ戦には出場機会がそんなにありませんでしたが、インディペンデンスリーグ(Iリーグ)やJr.リーグに出場して学んだこととは
金澤 そうですね、結構AチームとBチームを行き来していた選手なんですけど、Iリーグにもたくさん出させていただきましたし、Jr.リーグにも出させていただきましたし。Bチームに落ちたときにはIリーグで試合があって、Aチームに上がれたときはJr.リーグがあったので、ちょうど自分がいるチームに常に勝ちにこだわる対外試合があったので、その中で多くの試合を積むことができたというのはあって。特にきょねんの4年生なんかは同じポジションに大翔くん(畑尾)、順平くん、勝也くん(福田勝也、平25年スポ卒)とか本当にレベルの高いCBの選手がいましたし、他の学年でも進之くん(DF田中進之介=スポ3・湘南ベルマーレユース)であったり小川くん(DF小川弘志、教3=広島なぎさ)であったり、自分にない特徴を持った選手がたくさんいて、いろんな人と組んだ中でいろんなことを教えてもらったし、自分も見て学べた部分もあったし。ア式という環境自体が自分のセンターバックとしてのいろんな能力をあげられたかなと。お手本になる選手がたくさんいたのが、自分にとって刺激になった1年かなと思います。
 
――センターバックとして活躍した畑尾選手などの影響は大きいものがありますか

金澤 そうですね。サイズも違いますし、タイプも違う選手ですけど、学ばなきゃいけない部分は多かったです。試合を見ていて、やっぱり大翔くんとか順平くんとか山地くん(山地翔、平25年政経卒)とかはそれぞれの強みで活躍しているのを見て、自分に吸収できるものは吸収しなきゃいけないなと思って。練習中からそういうのを意識してやっていましたし、それはいまも変わらないですけど、さっき言った政幸とか俊輔とかの攻撃参加もそうですし、いろんな選手がいるこの環境をうまく使えているのかなと思います。。
 
――また、試合中大きな声を出している印象がありますが意識しているのですか

金澤 そうですね(笑)。まあ、自分は昔GKをやっていたというのもあって。小中学校はGKで、むしろ声を出しているのが自然というか。サッカーしている上でコーチングし続けることが自分として当たり前の状態という感じがあるので、特別意識して声を出しているというのもありますけど、サッカーする上で声を出しているのは当たり前というかそういう意識でいます。まあ、その中で監督から常に声出し続けるように言われているので、チームが沈みやすいときであったり集中力を欠きそうなときは、チームを鼓舞することだったりチームを前向きにできる声掛けが必要なのかなと自覚を持ってやっています。

 

――リーグ戦後に行われたアミノバイタルカップでは、ぎりぎりで総理大臣杯出場権を獲得しました

金澤 自分としてはトーナメント戦を大学に入ってから初めてやって。順位決定戦もそうでしたけどすごいプレッシャーがありました。2連敗したあとはネガティブなイメージというかそういうものがあって、でも絶対に勝たなきゃいけないという思いもあって。重いプレッシャーというか、精神的にのしかかるものもあって、肉体的にも連戦で疲労もありましたし。その中で最後勝ち切れた、苦しい試合をものにできたというのは自分個人としてもチームとしても、目標にしていた優勝はつかめなかったですけど、成長できたかなと思います。

奥山 短い中であれだけの試合数をこなすのは非常につらくて、ありえない戦いでしたけど。身体的なストレス、精神的なストレス、両方がかかる中で出場権をつかみとれたことは、収穫というか、自分たちが練習からプレッシャーをかけてやってきたからこそ、勝てたというのを感じていて。流経大戦(3回戦●4-4、PK2-4)、法大戦(順位決定戦●3-4)では僅差で、接戦で負けて、優勝っていう目標が途絶えた時はほんと悔しかったですし、メンバーに入れなかった選手への申し訳ない気持ちでいっぱいでしたけど、そこで沈んでいてもチームに迷惑かけるだけなので。出れない悔しさを押し殺して自分たちのサポートしてくれている選手たちのためにも絶対勝たなければいけないという気持ちを持って青学大戦に臨んで、勝てて。安心したというか、ホッとしました。

 

――奥山選手は追い込まれた青学大戦(7位決定戦○2-1)で貴重なゴールを決められましたが、ゴールの味というのは

奥山 あまりわからなくて(笑)。点を決めること自体1年に1回あるかないかの選手なので、ユースのときも点は取らなくて。喜び方もわかりませんでした(笑)。

一同 (笑)。

金澤 あるあるだよね。後ろの選手は。

奥山 だから、点はいれたけど実感はなくて。うれしいはうれしいですけど、意外とすんなり時間が流れてしまいましたね。

一同 (笑)。

 

――金澤選手もリーグ戦の流経大戦(第5節○3-0)で豪快なヘディングでゴールを決められましたね

金澤 自分の場合はむしろめちゃくちゃうれしいですね。むしろきれいに喜べないというか。感情を露わにするタイプなので。

奥山 めっちゃ大騒ぎしてな(笑)。

金澤 こうやってすぐ人を馬鹿にするんですよね(笑)。決まった喜び方もないですし、その時の一瞬の感情がかたちになったんだと思います。

 

――アミノバイタルカップではリーグ戦と比べて失点が多かったわけですが、改善していきたい点は

金澤 連戦を重ねるごとに一人一人の疲労で生じる少しずつズレであったり、メンバーが変わっていく中でのズレ。連携面のズレを修正しきれなかったと思います。小さいところですけど、そういうところから隙ができて失点につながったと思うし。きれいに切り替えられなかったり改善できなかったりしたことが、連続失点、そのあとの時間も抑えることができなかった1つの要因だと思っていて。この先戦っていく中で常に固定されたメンバーで戦うということはないはずだし、短い時間の中でどうやって修正していくのか、試合の中で課題を見つけて修正するのかということは、政幸とか自分とか後ろの中央にいる選手が積極的にやっていかないと。いまはボランチの4年生だったり、ミサくんだったりマツくんだったり経験のある選手が修正を行ってくれていますが、本当にやるべきポジションというのはセンターバックであると思うし、自分たちのやるべき仕事だと思います。自分たちがそういうのを築ける力をつけていくことがこの先の総理大臣杯、リーグ戦優勝を戦っていく上で必要になると思います。

奥山 まあ、拓真もいいましたけど、悪くなったときに修正する力は大事だなと思っていて。ハーフタイムとかを挟んで試合が止まったあとにチームの流れが良くなるというのはよくあることなんですが、それじゃちょっと手遅れです。やられてからでは遅いので、ピッチの中でオレら二人が中心となって話し合って、守備のことを修正していかなければいけないと思います。流経大戦とか法大戦とかではいったんプレーが止まったあとに失点したあとに続けて失点することも多かったので、ゲームの流れを読む力というか、自分がそういったものを身につけて発信して、みんなが同じ意識を持ってやっていくことが、もったいない失点を無くしていくためには必要だと思うので、改善していきたいと思います。

 

――では、8月に控える総理大臣杯の目標をお願いします

金澤・奥山 優勝でしょ!

 

 

 

普段から行動を共にし、仲の良い二人

 

奥山。時折見せる積極的な攻撃参加も魅力

奥山。時折見せる積極的な攻撃参加も魅力

――お二人はそれぞれユース時代、キャプテンを務めていたわけですが、面識はありましたか
金澤 面識はありませんでしたけど、お互い認知はしていて。奥山は知っていましたし。
奥山 俺も知ってたよ。うるさいやつがいるって(笑)。
――ポジションも同じで体格も似ていて、初めはライバル意識などはありましたか金澤 ないといったらうそになる(笑)。
奥山 そうだね(笑)。
金澤 一緒に出たいという気持ちは1年のときからあって。政幸はサイドバックとして出場していましたけど、公式戦同じピッチに立ちたいねと二人で話していて。自分はそれを目標にして1年間練習して、きょねんのリーグ戦最終節でそれを実現できました。そのときは本当にうれしくて。自分だけではなくて政幸と一緒にピッチに立てたことは単純にうれしかったです。2年になってからは二人でセンターバックをできたらいいねという話はしていましたし。練習試合では1回あったんですけど。
奥山 そうだね。

金澤 そのときの自分たちの手応えもあって本当にやりたいと話していて、ことし政幸のコンバートもあって実現できて、いま一緒に公式戦の舞台で二人で戦えているのは、良い刺激になりますし、頼れる存在ですし。すごい信頼している存在ですね、いまは。

奥山 いまは?(笑)

金澤 そりゃあるじゃん、似てるし!

奥山 対抗意識というかね(笑)。同じ身長ですけど、気持ちの強い選手ですし、声も出せますし、競り合い強いし。自分にないものを持っている選手だなと感じています。一応いま拓真が学年リーダーをやってくれていて、本当にみんなをまとめてくれています。怒るときはちゃんと怒ってくれますしね。よく怒ってます(笑)。

一同 (笑)。

奥山 まあ、結構いいやつです(笑)。

金澤 お前が言うなよ(笑)。

 

――金澤選手は怒ると怖いほうですか

奥山 怖いです。

金澤 いや、でも政幸が怒るときも怖いじゃん(笑)。

奥山 怒ったことないよ。

金澤 あったじゃん、雰囲気出して。

奥山 あーあれだけね(笑)。拓真はうちの学年でキレキャラなんです。オレらがあんまり怒れないから、何か問題があるとみんな拓真に言いにいって、怒ってもらう(笑)。

 

――大変な立ち位置ですね(笑)

金澤 本当ですよ。こいつとかはキレキャラとか言っていじってくるし。

一同 (笑)。

 

――2年生全体で遊んだりすることはありますか

金澤 でもみんなで集まるってことはしないよね。それぞれがっていう感じで。

奥山 固まってね。グループっていうかね。

 

――上級生などは学年みんなで遊ぶという話も耳にしますが

金澤 きょねんの4年生とかはそういうイメージありますね。学年全体で、いつも何かしてる感じはします。

奥山 おう。いつも、学年全体で。

金澤 やりたいけどね。

奥山 うん。

金澤 こういうふうに、みんなやりたいって言うんですよ(笑)。言うけど、結局自分たちは何も企画しないで、オレにやってとか言って、でも企画しても八角とか来ないんで。あいつだめっすほんと(笑)。

奥山 オレは言ってないです(笑)。拓真だけです(笑)。

金澤 こういうところがズルいんです(笑)。リスク犯さないんで(笑)。

 

――アンケートの仲の良い部員の欄には、金澤選手は奥山選手とMF川井健吾選手(創理2=東京・東京都市大付)、奥山選手は寮生と書かれていますが

奥山 川井くんが言ってくれって(笑)。

金澤 あいつ自分で書いて。

奥山 オレも1回書かれました。

金澤 オレ、部屋が一緒なんですよ。二人部屋で。で、政幸はいつもオレの部屋いるんで、この三人はいつも一緒にいて。

奥山 同部屋みたいなもんです。

 

――奥山選手はなぜ金澤選手の部屋に行くのですか

金澤 いやまず、こいつの部屋が、汚すぎるっていう(笑)。相方がね。

奥山 そんな汚いわけじゃないですけど(笑)。オレが汚いわけじゃなくて、まあ、名前は伏せますけど。学年一デカいやつがね。

金澤 最近やっとサッカーできるようになって本気出してきたやつが(笑)。

奥山 ようやく本気出してきたね。

金澤 ちょっと私生活はだらしないです。

奥山 注意しても直んないんで(笑)。

 

――私生活で奥山選手に直してほしいところはありますか

金澤 いや、政幸がほんと真面目すぎて、オフも、ぐだぐだするか、ア式の誰かと遊ぶかなんで。映画行ったり、最近だったら大江戸温泉行ったり。自分は地元がこっちにある分、いろんな所に出かけたり友達と遊びに行ったりするんですけど、ほんとにもうア式か自分かなので。もうほんと限られた人としか関わってないですし。早稲田の友達も?

奥山 いやもう全然ない(笑)。

金澤 ね。で、女沙汰も全くないですし、ちょっとチャラけるようなこともないし。そういう部分、欲しいなと思うんですけど。もうちょい、なんか…

奥山 オレも欲しいけどね(笑)。

金澤 (笑)。言うけどね。何にも起こさないからさ。

奥山 口だけになっちゃう(笑)。

 

――金澤選手の直してほしいところは

奥山 とりあえず、ケータイを触ったら、パズドラをしているか彼女とLINEしているかなので。常にそれで、そうなっちゃうとオレが話しかけてもすごい適当にされて。相手にされてない感があるので、それはちょっとなんか(笑)。まあ、しょうがないですよね、彼女に関しては。まあいいんじゃない。直してほしいけどね。

金澤 結論それなのね(笑)。難しいんだよね。もちろん聞こえてんだよ?ちゃんと(笑)。

奥山 でも全部適当じゃん(笑)。

 

――それでは、それぞれのユース時代の先輩との関係性についてはいかがでしょうか

金澤 ああ、近くなったよね?

奥山 近くなったよ。寮にもいるしね。

金澤 自分の場合はマリノスでは1年と3年で、雑用をする下の学年とチームの責任を背負ってる最高学年ということで、教育される側とする側だったので。特に航平くん(MF中田航平主将、スポ4=横浜F・マリノスユース)なんかは厳しく自分の代に指導していたので、そういう意味では距離はありました。いまみたいにすごいリーダーシップありましたし、尊敬する先輩でしたし。憧れの選手でした。その反面、ふざけた話とかいじったりとかする関係ではなかったですね。いまは同じ空間で生活していて、全然関わり方は変わりましたね。「最近、お前ナメてるよな?」とかよく言われますし(笑)。

一同 (笑)。

金澤 特に航平くんはそういう印象が強いです。大希くん(FW榎本大希、スポ4=横浜F・マリノスユース)はもともと話しやすくて。進路のことで自分がワセダ受けると決めたときも、大希くんがすごく面倒見てくれて。いろいろ協力してくれた面もありましたし。大希くんとはあまり変わりませんね。少しふざけるようにはなりましたけど、基本的にはあんな感じでした(笑)。

奥山 自分は洋史くん(MF近藤洋史、スポ3=名古屋グランパスU―18)と1学年しか変わらなくて、ユース時代からそれなりに話しましたけど、大学入って一緒に寮で生活してるっていうのもありますし、チームの唯一の後輩ということもあって、かわいがってくれているなというか、気にかけてくれているなというのはすごく感じます。拓真は先輩のことナメ始めたみたいなこと言ってますけど、自分はそういうことできないです。

金澤 おい!ずるいよな(笑)。

奥山 できないので(笑)。ユースのときから関係性は変わらないと思いますけど、距離は縮まったかなと思います。

 

 

 

 

「強い思いを持って慶大を倒す」

 

金澤。空中戦で競り負けない強さを持つ

金澤。空中戦で競り負けない強さを持つ

――去年1度経験して感じた、早慶サッカーに対する印象というのは
金澤 もうほんとに、想像以上というか、単純にJリーグとかの試合よりもすごく盛り上がってるっていう印象があって。会場全体が一体となってその試合に向き合っているというか、応援もしていますし、ちょっと大げさですけどある意味異世界というか。その一試合だけは特別、別物だなあという印象があって、きょねんは、試合に出れなくてピッチに立っている人は幸せだなあと。ピッチに立っている人と、そうじゃない人との差というのがものすごいものがあるんだろうなと思いました。ほんとピッチに立ちたいと思ったし、来年はもうメンバーに入ってやるというモチベーションにはなりましたし、またサッカー頑張ろうという1つのきっかけにもなったので、特別だなというふうに思います。
奥山 自分自身国立のピッチに立つのが初めてで、まずはその雰囲気に圧倒されたというか、絶対勝たなきゃいけないというか。意地と意地とのぶつかり合いで、プレーしていても応援の声でピッチの中では全然コミュニケーション取れないですし、そういった意味でも特別な試合だなというのは思います。

 

――国立競技場でプレーすることはサッカー選手にとってはやはり憧れですか

金澤 そうですね。

 

――改修前の国立競技場では、最後の早慶サッカーとなります

金澤 もりぞーさん(広報・森岡礼佳、商4=奈良学園)も言っていたんですけど、早慶戦だけ国立競技場を使えて。最初のころは使えなかったみたいで、日本でも初めて使ったくらいらしくて、それくらいの歴史のある早慶戦をずっと国立でやってきたこと自体に価値があると思いますし、ことしが最後になってしまうというのが残念です。だからこそその試合ではワセダが勝ちたいと思いますし、自分がピッチに立って貢献したいという気持ちがすごく強いです。

奥山 改修工事が始まるということで、1回も国立でできない代もある中で2回できるチャンスがあるっていうのは、ラッキーというか、できないよりは全然良いなという感じで。天皇杯の決勝とかであの国立が使われていて、サッカーやってる人にとっては憧れで。サッカーやってる人でほとんど立てない場所で、誰もが憧れている場所なので、そんな中で本気のぶつかり合いができるというのはすごく幸せですし、最後になってしまうということで残念ですけど、拓真も言ったように、勝てば、歴史に名を刻めるという部分はあると思うので、慶大を圧倒して勝ちたいなという強い気持ちはあります。

 

――慶大というチームはどのようなチームですか

金澤 人数がいるというのもあると思うんですが一体感があって、応援も含めてチームが一丸となってワセダに向かってくるという印象があって。うまい選手もいますし攻撃的なチームだと思いますけど、そういう中で自分たちも強みを出したり、一体感にも自信があるので、負けられないです。そういう部分でも慶大に勝って、結果としても勝利で終わりたいと思います。

奥山 自分たちよりも早慶戦に懸けてる思いは強いのかなあと。僕たちももちろん強い思いは持っていますけど、きょねんなんかはチーム状況が良くない中でも早慶戦ではエネルギー出して。接戦になりましたし、ライバル心というのをすごい持っていて。ピッチで対面しても絶対負けないぞという気持ちが伝わってきますし、でもそういうのを自分たちが上回れるようなっていけば、絶対勝てると思うので、チーム全員で慶大を倒すという意識を持って、やっていきたいなと思います。

 

――その中で意識する選手はいますか

金澤 山田融選手ですね。マリノスのジュニアユース、ユースと6年間仲間としてやってきて、個人的にも仲が良くて練習後の自主練とかウエイトトレーニングとか、一緒に過ごす時間が長くて。まあそういう仲の良い友達だからこそ絶対負けたくないし、高めあってきた仲間だからこそこいつにだけは負けたくないというふうに思います。でもそれは早慶戦だけに関わらずそれぞれがワセダと慶大に進んだ時点で思ってたことで。

奥山 自分は、高校時代の先輩である岩田修平くんなんですけど、自分が1年生のときの3年生で、キャプテンもやっていて、日本代表にも選ばれるような。意識も高かったですし、尊敬できる人というか。慶大でもいま副将をやっていますし、グランパスはわりと関東に出てくる人も少ない中で慶大に進んで、自分たち後輩に道を示してくれたというか、そういう人でもあるのでその人と一緒にプレーすることはすごくうれしいことですし、楽しみたいかなと思います。

 

――早慶サッカーではどのようなプレーを見て欲しいですか

金澤 自分はそんなにうまい選手ではないので、戦う姿勢というか、泥臭く。もともとそういうのを売りにしているので、気持ちの入った一つ一つのぶつかり合いというか競り合い、空中戦地上戦問わず、気持ちの入ったプレーっていうのを見て欲しいかなと思います。

奥山 拓真と隣でプレーしていて、対極というか、オレと拓真の違いが顕著に表れると思うので。

金澤 似てるようで似てないんだよね。

奥山 そうなんだよ。だから、拓真はそうやって熱い気持ちで、自分も持ってないわけじゃないですけど、熱い気持ち持ってますけど、表面に出すのが得意ではないので、落ち着いて。どんどん攻撃にも関わって、チームに良い活気を与えられるというか。拓真が声とかでチームを勇気づけられるなら、自分はプレーで示して、チームを引っ張っていきたいなという気持ちはあります。

 

――では最後に、早慶戦に向けて意気込みをお願いします

金澤 本当に、こういう場でサッカーができるのは早大と慶大に所属している人だけですし、その中で選ばれた11名、18名が、部員の代表っていうこともそうですし、それ以上に現在早大に所属する人や早大に関わるすべての人の代表だと思うので、その責任を果たすというのはワセダらしく戦って、勝利することだと思うので。自分たちらしさというのを表現して、慶大に勝てるように自分たちは取り組んでいくので、ぜひいろんな人に会場まで足を運んで応援しにきていただいて、勝利の喜びをわかちあえたらなと思います。

奥山 言ったね。

金澤 渋いのちょうだい(笑)。

奥山 えー(笑)。慶大っていうのは、負けちゃいけないのと、勝つしかないという相手だと思うので。きょねんは試合前のミーティングで涙を流す4年生もいて、強い思いを持ってケイオーを倒したいと思って、そういう自分たちの思いがつまったプレーというのをスタンドにいる人に楽しんでもらって、まあ最後はうちが勝つんで、一緒に、『紺碧の空』歌って、楽しんでもらえたらいいんじゃないですかね(笑)。

 

――ありがとうございました!

 

(取材・編集 石原瑞季、辛嶋寛文、松下優)

 

 

奥山選手(左)と金澤選手(右)。仲の良いお2人は同じポーズをとってくれました。

奥山選手(左)と金澤選手(右)。仲の良いお2人は同じポーズをとってくれました。

◆奥山政幸(おくやま・まさゆき)
1993年7月28日生まれ。173センチ、69キロ。愛知・中京大中京。前所属・名古屋グランパスU―18。スポーツ科学部2年。冷静な状況判断で守備陣の中心として活躍するセンターバック。アミノ杯で今季初ゴールを決めたものの、久しぶりの得点で、喜び方が分からなかったそう。次は喜びを爆発させるゴールパフォーマンスに期待してます!
◆金澤拓真(かなざわ・たくま)
1993年5月3日生まれ。173センチ、70キロ。神奈川・法政大学第二。前所属・横浜F・マリノスユース。スポーツ科学部2年。学年リーダーを務め、2年生をしっかりまとめているという金澤選手。ただ2年生だけで遊びに行く予定を企画したときは全員を呼ぶことに失敗してしまったそうで、とても残念がっていました。次に企画するときはうまくいくことを願っています!