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早慶サッカー定期戦直前特集 【第6回】三竿雄斗×小松聖音

 

2年の頃からスタメンとしてワセダの左サイドバックに君臨するDF三竿雄斗(スポ4=東京ヴェルディユース)。今季からボランチとしてスタメンに定着したMF小松聖音(商4=北海道・札幌光星)。プライベートでも仲が良いという2人はラストイヤーを戦ういま、どのような気持ちなのだろうか。

 

充実のリーグ戦と不満の残るアミノバイタルカップ

――リーグ戦は2位で前期を終えました

小松

小松

小松 開幕の順大戦で負けてしまって、そのあと監督から「まだまだお前たちはやれるよね」という話があったのがきっかけで2節以降は負けなしで行けたので、そこは良かったと思います。ただその中でも桐蔭大戦や日体大戦のように自分たちのサッカーが出来ない試合もあったので、そういうところをなくしていきたいと感じています。

三竿 自分たちのサッカーがどれくらい通用するのか半信半疑の状態で開幕戦を迎えて、そこで負けたのは残念だったんですけど、試合が続くにつれて一人ひとり自信がついてきたり自分たちのサッカーをやっていくということを意識するようになって、リーグ戦2位ということでまだまだ満足できる結果ではないかもしれないですけど、チームとしては自信になっていると思います。自信を持つことが一番大事だと思うので、まずまずの立ち上がりかなとは思います。

――リーグ戦の中で最も印象に残っている試合はどの試合ですか

小松 個人的には筑波大戦が印象に残っていて、初めてフル出場したというのと筑波大を相手に勝てたというのが自分の中で自信になった部分があるので印象に残っています。チームとしで言うなら希(池西、スポ4=浦和レッズユース)が最後劇的なシュートを決めて勝った明大戦ですね。
三竿 開幕戦で負けた中で迎えた2節の慶大戦での勝ちがチームとしてはすごく大きかったというか、自信になったところがあるのでチームとしては慶大戦で個人としては日体大戦が印象に残っています。

――三竿選手は以前「降格の危機感があったからチームがここまで成長できた」と話していましたが、具体的にどこらへんが成長したと感じていますか

三竿 開幕前から監督からは「実力的にはまだまだリーグ下位ぐらい」と言われてて、チームを一番知っている監督がそう言っているのでそうなのかなと思っていました。ただ、一人一人の能力は高いし、お互いの特徴だったりを意識してワセダらしいサッカーをやってきた結果が今の結果につながっていると思います。具体的にどこが成長したかと言われると分からないですけど、一人一人が自信をもってプレーをしているのが今の結果につながっていると思うので、気持ちの面で成長しているのかなと思います。

小松 三竿が言っていたように開幕当初に監督からそういうことを言われていて、練習試合や鹿児島遠征でもなかなか勝てなくて、そんなチーム状況の中で迎えた開幕戦も負けたので、実力的には下位なんだなという危機感が生まれました。開幕戦の後でそういった危機感を持てたのはすごく大きいなと感じていて、そういう危機感があったからこそ一戦一戦勝利してこれたのかなというのはあります。

――ここからはアミノバイタルカップのことを伺います。連覇を目指して臨んだ大会でしたが、厳しい戦いとなってしまいました
小松 (流経大戦でのPK戦を振り返り)僕がPKを外してしまってすみません。これ書いといてください(笑)。
一同 (笑)。
小松 その中でも流経大戦みたいに苦しい場面になっても追いつく力を持っているというポジティブなところがあった一方で、逆にリーグ戦では守れていたところが守れていなかったというネガティブな部分もあったので、鍛え直していかないといけない課題が明確になったかなと思います。7位という形で本戦(総理大臣杯全日本大学トーナメント)には出場できるので、本選に向けての課題が明確になって良かったかなと思います。
三竿 チームとしては連覇を目指して臨んだんですけど、流経大戦であっさりと先制点を取ったことで連戦の最終日ということもあって安心してしまった部分が出てきて、失点しちゃいけないところで失点したりミスから失点したり、残り10分で追いつく粘りを見せたかと思えばまた勝ち越されるもろさを見せたり、そのあとでまた追いついたり…。今までこんな試合を経験したことがなかったし、何が起こるか分からないというのを改めて感じた試合でした。次の法大戦も負けてしまったんですけど、しっかりと切り替えて7位決定戦では勝ち切れたというのは最低限良かったかなということで本選では優勝を目指してやっていきたいです。

三竿

三竿

――流経大戦、法大戦と立て続けに負けたときのチーム状況はどんな感じでしたか
三竿 流経大戦に関しては2回も追いついて、こっちの勝ち試合みたいな流れがあった中で負けて法大戦も最後に逆転されて負けてしまって、自分としては気持ちの整理が試合終わった直後はつかなくて、でも本選の出場権を取ろうと試合前にチームで話し合えたので、引きずることなく全国に行こうとみんなで集中して青学大戦に臨めたかなと思います。
小松 法大戦のときに自分のミスから失点してしまってすごく落ち込んでたんですけど、そのあとでロッカールームで三竿が「飯食いに行こう」と誘ってくれて、そういう何気ない言葉で切り替えられたかなと思います。そんなこと言えるのは三竿くらいだったかなって思います。おちゃらけた人が何気ない感じで「飯行こう」って言ってくれたことでこっちも気楽になったというか、つけ麺食ってニンニク注入して、次の日がんばれたっていうのがあるので(笑)。そこは三竿に感謝してますね。

――5試合で10失点とディフェンスが崩れてしまったのですが、何か感じていることはありますか

小松 希がいなくなったのでボランチを僕と航平(中田、スポ4=横浜F・マリノスユース)で組んだんですけど、2人とも攻めに上がったりバイタルエリアを締め切れなかったりとかでバランスが悪くて、そういうところでいつもと違った守備になってしまったのかなというところで責任を感じていて、そこは誰が出ても自分が能動的に誰かを動かして守備させるというところを身に着けなければいけないと思っています。
三竿 日大戦や青学大戦は最少失点だったということでリーグ戦と比べてもあまり変わりはないんですけど、流経大戦と法政大戦で失点シーンを振り返ると最後のDFライン4人が体を張る部分だったり、半歩とか一歩でも詰めれるところが連戦の中でおろそかになった結果というのがあって、そこは自分たちがしっかりやれば問題ないところなので4人で確認して本選に臨みたいです。

――小松選手は以前「リーグ戦を振り返って得点に絡む機会が少なかった」と話していましたが、アミノバイタルカップではそういった機会が増えたように見えました
小松 監督からアグレッシブに、大胆にゴールに向かおうということを日頃のトレーニングから言われていて、その中でミドルシュートが自分はチームの中でも得意な方なのかなと意識していて、そこで迷いなくシュートを撃っていこうというのを決めてアミノバイタルカップに臨みました。その中で運よく2回枠に行って入ってくれて、それがチームのためになったのかは分からないですけど、今後もそういうのを増やしていきたいなと思っています。
――三竿選手はキャプテンマークを巻いて試合に出場したり、またJリーガーというプレッシャーもあったりなど、色々なものを抱えながらのここまでのプレーでした
三竿 もっと直接ゴールに絡みたいんですけど、チームのことを考えるとどうしても守備的になってしまうというか、思い切って上がるところでも抑えていってしまったりする場面もあって、最後の精度が悪いのもあるんですけどそういう気持ちもあるのでなかなか前に行けないところもあったんですけど、アミノバイタルカップではトーナメントだからということもあって自分も得点に絡むという気持ちでやれて、その結果1ゴール3アシストを取ることができて、こういう意識でリーグ戦も戦っていればリーグ戦でももっと取れていたと思うのでJリーグに内定したというプレッシャーもありますけどそれを跳ね返すくらいのメンタルがあれば全然問題ないですし、まだまだ自分は未熟だと思うのでもっともっとやっていかないといけないなという感じです。

――リーグ戦それから総理大臣杯で優勝するためにチームにとって必要なところはどこだと感じていますか
小松 アミノバイタルカップを通して感じたことで、個の部分で相手を圧倒できる力をサブの選手も含めてつけていかなきゃいけないと思います。決めるところを決め切る力だったり、守るところで守り切る力だとかそういうところでもう1人、2人出てきてくれたらチームは楽になると思うし、勝てる試合が増えてくると思うのでそういう個人個人のベースの部分をレベルアップさせていかないといけないのかなと感じています。

三竿。今季は副将としてもチームを引っ張る

三竿。今季は副将としてもチームを引っ張る


三竿 チーム全体で個のレベルを上げていかないといけないのはもちろんですけど、自分の中で前から思っていたのは去年よりゴールに向かう回数というのが増えているとは思うんですけど、パスした方がもっと良いチャンスになるって場面でシュートしたり、左にパスを出せば空いているのに右に出したり後ろに下げたりだとか、そういうのが多いなっていうのを感じています。きょねんはボランチに左利きの選手がいたので右も左も出せたんですけど、もっと俺にボールを出してほしいというか…(笑)
小松 ごめん!(笑)
一同 (笑)。
三竿 俺を使ってほしいなっていうのはあります。
小松 三竿を使ったらチャンスになるので…。課題は三竿をもっと使うってことにしといてください!(笑)
一同 (笑)。

 

「オンとオフの切り換えが一番大事」

 

――お互いの初対面の印象はどんなものでしたか
小松 とりあえず目細いなって思いました(笑)。あとこいつ飲み会好きそうだなって。俺と同じ匂い感じるなって(笑)。
三竿 最初見たときはこいつコンパ好きそうだなって思いましたね。
小松 お前嘘つくなよ(笑)。

――4年間を経て、その印象はどれくらい当たっていましたか
小松 合致してましたね。通算100回はコンパに行ってますね!
一同 (笑)。
三竿 行ってないです。止めてください(笑)。
小松 いまは行ってないですよ。もちろん。

小松。前期リーグ戦、アミノ杯全試合でスタメン出場を果たした

小松。前期リーグ戦、アミノ杯全試合でスタメン出場を果たした

――お互いのピッチでのプレーなどをどのように見ていますか
三竿 ミドルシュートを打って可能性を感じるのが小松ぐらいしかいないなと。小松が打った瞬間に入りそうだなって思うので。運動量も凄いですし、球際も強くいけるし。1年生の頃と比べたらとても成長したなって感じてます。
小松 左サイドバックをやらせているのがもったいないと思うくらいうまい選手だなって感じています。間違いなくワセダの中だったら一番うまいし、どこのポジションをやらせても平均以上のプレーはできると思います。その中でも左サイドバックというポジションで自分の持ち味とマッチングさせて、相手の脅威となるような選手になっていますし、三竿が抜けたらワセダのサッカーがガラッと変わってしまうなと感じています。

――お互い称賛の声が挙がりましたが、プライベートではよく遊ばれたりするんですか
三竿 いや、あんまり遊ばないですよ。コンパ以外の遊びってあるんですか(笑)
一同 (笑)。
小松 コンパ以外の遊びか…。ピクニックって書いといてください!(笑)。そういえばボーリングとかはやります。三竿は下手なんで同じチームになりたくないんですけど。
三竿 そうなんですよ。スコア200ぐらいです。
小松 いやいや!(笑)僕は150~200ぐらいなんですけど、三竿がチームに入ったら負けるみたいな(笑)。
三竿 実際100ぐらいしかいかないんですよ。5ゲームあったら3ゲームは100ぐらいで、残りの2ゲームで200超えますから!
小松 そんなところ見たことねぇよ(笑)。
三竿 携帯変わっちゃたんで証拠の写メは見せられないですけど。ジョーカーです、俺は(笑)。

――最高学年にもなりましたが、4年生はどのような学年ですか
小松 1年から3年まではしょうもなさという学年の色で、個性派揃いだったと思うんですけど、その部分を失わないようにしながらもまじめな部分を出すといったように、最高学年になってオンとオフの切り替えがすごく上手くなったと感じています。ピッチの中に入ったらどの学年よりもまじめにひたむきにトレーニングに取り組んで、みんなをまとめていかないといけないですが、ピッチ外になったら学年の垣根を越えて冗談を言い合ったりだとか、後輩をいじったりしてます。特に近藤貴司(教3=東京・三菱養和SCユース)だとか(笑)。
三竿 小松も言ったようにピッチに入ったら4年生はどの学年よりもまじめだと思うし、一番真剣に取り組んでいます。でもピッチ外ではもう少しおちゃらけてもいいかなという思いはあるし、ピッチ内とピッチ外でおちゃらけてるのは清水大志(創理3=東京・早大学院)だけなんで(笑)。一人だけサークル気分ですね(笑)。そういう奴ではやっぱり駄目だし、オンとオフの切り替えが一番大事だと思ってます。
小松 これめっちゃ清水批判になってる(笑)。
三竿 そういう学年だからこそ、近藤貴司だったり、チョンチー(秋岡活哉、政経3=FC東京U-18)や田中太郎(商2=静岡・藤枝東)とかが慕ってくれてるのかなーって。
小松 可愛いんですよ。あいつら。いじればいじるほど寄ってくるんで(笑)。
三竿 そうなんですよ。あいつら欲しがりなんですよ(笑)。近藤「たわし」とか。
小松 「たにし」でもいいですよ!(笑)

――後輩の話がでましたが、何か後輩に伝えたいことはありますか
三竿 ピッチ内だったら怖くてピッチ外だったら優しいと思われているわりに、近藤洋史(スポ3=名古屋グランパスU-18)と松澤(香輝、スポ3=千葉・流通経済大柏)は俺に暴言吐いてくるんですよ!
小松 あったなそんなの(笑)
三竿 ハーフタイムとかで話し合うじゃないですか。その時に熱くなっちゃって、洋史には「わめくな!」って言われたことがあって。それがすごいショックで…。この前の総理大臣杯の出場を懸けた試合のハーフタイムでは松澤に「お前!」って呼び捨てされました。試合終わったら謝罪してくれましたけど、怖かったというか、せっかく総理大臣杯の出場を決めたのに心の中でモヤモヤしたものが残りました…(笑)。その二人と清水以外は好きです(笑)。
小松 もっと2年生とか個性出していいと思います。田中太郎とか宮本(拓弥、スポ2=千葉・流通経済大柏)が最近、阿部(雄太、人4=千葉・渋谷教育学園幕張)をいじるようになって。それがすごく面白いんで、奥山(政幸、スポ2=名古屋グランパスU-18)や金沢(拓真、スポ2=横浜F・マリノスユース)あたりが阿部をいじってほしなとは思います(笑)。そういうところを少しずつ出してくれたらなと。

――「自分が女の子だったらア式蹴球部の中だったら誰を彼女にしたいか」という質問を事前にアンケートで取りましたが、三竿選手のお答えは
三竿 阿部以外なら誰でも。阿部だけは生理的に無理です(笑)。それ以外なら皆良い男しかいませんよ。

――では小松選手のお答えは…

小松 いやー、三竿以外なら誰でも!
三竿 なんでやねん!(笑)
一同(笑)。
小松 彼とは1年生の時からこうして365日近く過ごしてきた結果を書いたまでです。この人とは付き合えないなっていうのが率直な感想ですね(笑)。でも良い男です。特に最近は!
三竿 そうですね。そう書いてもらえると喜ぶ人がいるんで(笑)。
小松 4年生になってから飲み会とか誘っても結構断るんですよ。それが寂しいんですけど、自分も一時期そういうときがあったのでしょうがないかなと。そういう人は大事にしたほうがいいと思うので(笑)。

――三竿選手は好きな女性のタイプは「いまの彼女」ということですが
小松 お!言うねー(笑)。
三竿 やっぱり全体のバランスだよね。極度におちゃらけたところも出しながらも、こういう一途な面を出していく感じね(笑)。
小松 僕のタイプは「古き良き時代の女性」です。
三竿 ずっと言ってますね。それが俺のいまの彼女に結構一致しているので、すごい可哀相だなって思います。
小松 別に嫉妬とかしてないですよ。彼女募集中ですけど(笑)。
一同 (笑)。

――小松選手の最近衝撃的だったことは何かありますか
小松
 この前のアミノバイタルカップの上武大戦のときに希が脳しんとうになったじゃないですか。その時に泡を吹いていて、これはやばいなと。希が本当に死んじゃったと思ったくらいで。そのときのことは全然覚えてないって言っていて皆に心配してもらいたいんでしょうけど、多分覚えてると思います(笑)。
三竿 そうだと思います。全部嘘です。恐らく気づいていました(笑)。

――三竿選手は最近衝撃的だったことに「矢口真里」を挙げられていました
三竿
 気持ちは分からなくもないですけど(笑)、やっぱり時と場合を考えないと。自宅はまずいだろと。
小松 いまの彼女もしてるかもよ。
三竿 してないから絶対。
小松 そういう彼女なんですよ(笑)。
三竿 そういうことをしない彼女なんですよ!

――彼女も三竿選手に対して一途であると
三竿 そうですよ。当たり前じゃないですか!
一同 (笑)。
三竿 それなのにこいつらちゃかしてきて。
小松 こいつの彼女全然だめなんですよ。浮気してるんですよ。俺知ってるんですよ!(笑)
三竿 こんなことをずっと言ってくるんで(笑)。嘘だと分かっていても少し心配になっちゃうので、止めてほしいです…。
小松 こういうかわいいところあるんですよね(笑)。

――小松選手はワセダに入って北海道から上京という形を取ることになりましたが、感じた違いは
小松 満員電車に驚きましたね。こんなに混んでしまうのがある意味新鮮でした。あとお酒が飲める学年になって、東京の楽しさが分かりました。小学校ぐらいのときだったら東京ディズニーランドぐらいしかないなって思ってたと思うんですけど、そんなことないなと(笑)。
三竿 でも俺札幌好きだよ。ジンギスカンとか(笑)
小松 まぁな(笑)。いいとこあるからね、札幌は。

「ワセダらしさを出して必ず勝つ」

――1年生から4年生までワセダで古賀監督に指導を受けた代は、現4年生が初めてとなります。この4年間で古賀監督から学んだこと、そして特に成長したことは何かありますか
三竿 いままでの指導者というのはピッチ上では要求も高いし厳しかったと思いますが、その反面選手たちとのボール回しに加わったり、冗談を言い合ってました。ただ古賀監督は24時間まじめというか、あんなにまじめな人は見たことないですね。高校時代の指導者とも話になったんですけど、「あの人は本当にまじめだ」っていう言葉がとにかく返ってきて。あそこまで芯が強くて真っ直ぐな人に出会ったことはなかったし、自分の中でのサッカー観だったり人生観が変わったというか、古賀監督に出会わなかったら人間性が一流でないと一流のサッカー選手になれないという考えも抱かなかったと感じています。自分は大学入るまではダメ人間だったと思うので、この出会いがなかったらいまの自分はないですし、本当に尊敬しています。
小松 監督と出会って自分の固定観念を全て覆されたと思っていて、監督が「肉体的限界は精神的限界の遥か上にある」という言葉をおっしゃっていて、きついと思っていたところが実はまだまだいけるんだなってトレーニングの中で思うようになりました。試合中できつくても、まだまだ俺はできるんだって感じられるようになりました。オフザピッチでもチームのために出し惜しみせずにゴミや落ち葉を拾ったりすることを、全然やらなかった自分が少しながらもできるようになりました。

――早慶定期戦のことに話を移したいと思います。リーグ戦の第2節で慶大と対戦しましたが、そのときの印象はどうでしたか
小松 あのときはワセダのセンターバックの上背がないということで、前に大きい選手を置いてロングボールを放り込んできましたが、実は奥山と金沢は空中戦に強いので問題なくやれました。その時はいままでの慶大とは違う戦術を取ってきたので何とも言えないですけど、この前のアミノバイタルカップ決勝を見たときに感じたのは、個でうまい選手が多いなと。この前のリーグ戦で出なかった武藤(嘉紀)選手などと対面したときに、自分が個で打ち勝てるかと言われたら100パーセント打ち勝てるとは言えないし、試合まで時間もあるのでそういう選手とどうやって戦っていこうかというのは試行錯誤しながらやっていきたいと思います。
三竿 いまの慶大とはメンバーも全然違うし、ワセダ対策みたいな形を取ってていまの慶大のサッカーとは異なってました。あの時はもっと点が取れたし、圧勝しないといけない試合だったと感じています。それでも慶大はワセダと一緒で団結力があるし、うまい選手は少ないかもしれないですけどハードワークをしてくるチームで、気を抜くことはできないと思います。もっと意識を高く持って練習しないと勝てないと思うし、この1週間がまずは勝負だと感じています。

――慶大にライバルや意識する選手はいますか
小松 これといった人はいないですね。僕は北海道出身なので、あんまり関東の選手を知らないんです。希はそこら辺を良く知ってて「こいつうまいよ」って情報を教えてくれるんですけど、そういう固定概念がないので始まる前から苦手意識とかはないので。だからいないって答えました。それでも松下(純土主将)選手は髪形がインパクトあるなとは思いましたけど(笑)。キックがすごく上手くて増田(湧介)選手と同様にセカンドボールに対する意識が本当に高くて、自分もそこでは負けたくないなと思います。
三竿 眼中にないです。ヴェルディユースの端山(豪)とも直接マッチアップするわけではないですし、新(山浦)もケガしてるので特に意識する選手はいないですね。

――お二人にとっては最後の早慶定期戦となります
小松 1年生のときは駐車場の警備でひたすら苦痛だったんですけど、2、3年のときは売り子で、女の子と話す機会も多かったので楽しかったなと(笑)。いままでは気楽で観客の気分で見てる面もありました。今季はこうしてスタメンとして戦わせてもらっている以上、勝たなければいけないという責任感もあります。最後の早慶定期戦ということで必ず勝ちたいですね。
三竿 最後の早慶定期戦ということで二度とあの雰囲気を味わえないと思ったら、すごい気持ちが入ります。1年生のときはメンバーに入れなくて、ベンチ外の選手の気持ちも分かってるつもりですし、試合に出れたら他の4年生の思いの分もしっかり背負って戦います。勝てれば自分が活躍しなくてもいいですし、チームのためにできることを精一杯やって何が何でも勝ちたいです。

――国立競技場が改修工事をすることに伴って、現国立競技場での早慶定期戦は最後になります。『最後の国立』というキャッチコピーが今季の早慶定期戦では掲げられていますが、国立で開催されていることに関してどのように感じていますか
小松 早慶定期戦を国立でやるのと西が丘でやるのだったらだいぶ雰囲気は違うし、高校サッカー出身者としたら夢の舞台でもあります。そういう意味ではあのピッチに立ちたいという思いは強くありますね。
三竿 自分は来年からは湘南BMWスタジアムでやればいいと思います!ですから国立への思い入れは特にないです(笑)。
一同 (笑)。
三竿 ピッチも良くて丁度いい観客動員数ですし、満員だったらとても良い雰囲気になるので、最適だと思います!
小松 面白いな、お前(笑)。

――今年の早慶定期戦は観客数で2万人を集めることを目標にしています。お二人はどのような形で集客活動をされていますか
三竿 自分は正直いままであまり本気で集客してこなかったというか、適当に知り合いが欲しいって言ってきたら配ってた感じでした。でも今年はやっぱり最後だし、たくさんの観客の前でプレーできたらと思うので、いままで行ってなかった中学だったり、高校にチケットを渡しに行こうかなと。あとジュニアユースまでお世話になった横河武蔵野FCや、自分の地元の周りの商店街にポスターを貼らせてもらおうとも思っています。それと少年団などの知り合いを通じて小学生も無料ということで呼んだり、色々な形で動いてはいます。
小松 僕は校内の不特定多数の枠組みで活動させてもらってるというか、勝手に配属されたんですけど(笑)。校内のありとあらゆる女性に声をかけて、コンパで知り合った女性にチケットを渡したいと思っています!(笑)。
一同 (笑)。
小松 アミノバイタルカップが終わってから本格的に乗り出そうと思っていて、きょうは学校がなかったので明日からスタートですね。

――数ある早慶戦の中で夜の早慶戦はサッカー特有のものだと思います。お二人が考える夜だからこその魅力とは何ですか
小松 ナイターなので独特の雰囲気がありますし、観客として3年間見てきた中でプレーしてる選手がすごいかっこよかったと感じました。三竿もきょねんはとてもかっこよかったし、勝って優勝トロフィーを掲げている姿を見たら、自分もあの舞台に立ちたいと心の底から感じましたね。昼間だったらあそこまでの雰囲気は作りだせないと思います。
三竿 小松が言った通りナイターと昼間だと全然雰囲気が違いますし、サッカーの早慶戦でしか味わえない雰囲気でしょうから本当に自分は好きですね。最後だと思うと残念ですけど、しっかり楽しみたいと思います。

――早慶戦のMVP予想はズバリ誰ですか
小松 僕はあえてアナウンスで古賀さんと言ってほしいですね。もし自分がMVPを貰うようなことがあれば、古賀さんにMVPの看板を渡したいと思います。
三竿 やっぱり上形(洋介、スポ3=東京・早実)ですかね。
小松 神形ね(笑)。
三竿 「持ってる」男なんでね。出たら絶対に点取ってくれると思います。でもMVPは昨年もあいつが獲ったしもういいですかね…。活躍してほしいですけど、獲ってほしくないです(笑)。ですから自分が獲ります。自分が獲って看板を彼女にあげます!
一同 (笑)。
小松 マジか、お前(笑)。絶対あげろよ!

――では最後に早慶定期戦への意気込みをお願いします
小松 自分自身最後の早慶定期戦でもありますし、試合に出れたとしたら自分が魅せるということは一切考えません。ワセダらしく熱く泥臭くてもいいので、「勝つ姿」で、いままで支えてくれた両親や友人、支援してくださるOBの皆様、そして一般の応援しにきてくれている方々に何かを与えられたらいいなと思っています。それができるのはワセダだけだと思うし、ワセダらしさを出して必ず勝ちたいと思います。
三竿 学年が上がるにつれて慶大に対するライバル心は強くなってきています。正直この前のアミノバイタルカップの決勝でも「慶大だけには優勝してほしくない」という思いで見ていました。相手をもちろんリスペクトはしていますけど、内容で結果でも圧倒して、慶大が立ち直れないくらいボコボコにして紺碧の空を歌いたいです!

――ありがとうございました!

(取材・編集 石原瑞季、松坂和之進、八木和基)

小松選手(左)と三竿選手。ホワイトボードを使って自己紹介してくれました

小松選手(左)と三竿選手。ホワイトボードを使って自己紹介してくれました

◆三竿雄斗(みさお・ゆうと)
1991(平3)年4月16日生まれ。174センチ、69キロ。東京ヴェルディユース出身。スポーツ科学部4年。来季のJ1・湘南ベルマーレへの入団が内定したのに加え、今季は湘南ベルマーレの特別指定選手としてチームに加入。そんな輝かしい経歴を持つ三竿選手ですが、商学部の女子からブラックリストに認定されていること。「理由が分からず本当に気に食わないです!」ということですが、真相は果たして…(笑)。

◆小松聖音(こまつ・たかね)
1991(平3)年8月12日生まれ。170センチ、66キロ。札幌光星高校出身。商学部4年。「チーム内の役割として求められているものとは?」という質問に「飲み会幹事長」と答えてくださった小松選手。早慶定期戦でもワセダが勝ったら歓喜の舞を披露すると話してくださいました(笑)。いったいどんな歓喜の舞を見せてくれるのでしょうか!?(笑)そのためにもぜひ早慶戦勝利を期待しています!!