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4年の想い 金澤拓真

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「誰かのために闘う」

 記憶に新しい東日本大震災。震災後のなでしこJAPANのワールドカップ優勝や東北楽天イーグルスのパ・リーグ、日本シリーズ初優勝。これらの偉大な結果は勝つべくして勝った、共通の理由があるのではないでしょうか。

 私がア式蹴球部の活動に初めて参加したのは、大学の進路選択に迷っていた高校3年次でした。練習でのエネルギッシュな雰囲気や先輩方の人間性に惚れ込み、「ここで自身を高め、プロになりたい」と高い志を持ち、ア式蹴球部の門を叩きました。

 入部後は下級生の時から多くの試合に出場することができ、大学サッカートップレベルを肌で感じ、より一層「プロになりたい」という想いが強くなりました。しかし、私は上級生となり、様々な考え方の変化からプロになることを諦めました。サッカーをする一番の動機であったプロになることを諦めたのです。

 不思議なことに、プロを目指していた1日1日よりもプロを諦めてからの1日1日の方がサッカーに熱を注ぎ、充実感が溢れていることに気がつきました。それは「自分のために」から「誰かのために」とサッカーする上での心境の変化があったからだと思います。

私たちを支え、応援してくれる人達の期待に応えたい。
尊敬する監督を胴上げしたい。
かわいい後輩に伝統を継承したい。
何より心から尊敬し、大好きな同期と最高の瞬間を迎えたい。

 これが今、私がサッカーに、ア式蹴球部に熱を注げられる理由です。こうしたことに気づくことができたのは、支えてくれる人の想いを伝えてくれる監督や「こいつのために勝ちたい」と心から思わされる、素晴らしい人間性を備えた仲間に出会えたからだと思います。

 感受性を豊かに「誰かのため」に闘うことができる組織がア式蹴球部であり、私が思う強い組織です。このような組織の一員になれたこと、主将という立場に立てたことを誇りに思います。

 4年生として、主将として、この部に残すべきは「19年ぶりの関東リーグ優勝」を果たし、私たちの取り組みを結果として証明することです。ついに明日から人生最後のリーグ戦が始まります。死に物狂いで闘うア式蹴球部の戦いぶりを、4年生の生き様を、是非会場まで観にいらしてください。

 早稲田大学ア式蹴球部主将 金澤拓真