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4年生の想い 〜東浦壮一朗〜

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「引退」
それは私の人生の15年間を懸けてきたサッカー人生に終止符を打つ事を意味する。
前節の結果を受け、我々のインカレ出場が潰えた今、私のサッカー人生は残り10日となり、その2文字が重くのしかかり、現実を突きつけてくる。

 

サッカーを辞める決断は高校卒業時にもできた。高校ではトップチームにいながらなかなか試合に出られず悔しさと情けなさを感じて過ごした3年間だった。しかし選手権予選に敗れて感じたのは、やはりサッカーが好きで、まだ本気でサッカーがしたい気持ちだった。
 
そして早稲田大学ア式蹴球部入部を決意するも、長い長い練習生生活から始まり、理想とは程遠く高校の雪辱を晴らすどころか高校より辛く苦しい毎日。練習に行きたくない、寮にいたくない等、逃げ出したくなる日々だった。
しかし時々連絡をくれる両親や、東北や京都のボランティアで出会った人々やOBの方々からの応援が勇気をくれ、頑張る事ができた。
 
とはいえ、この3年半のほとんどはBチーム。自分の好きなプレーに終始した試合後のミーティングで監督から名指しで怒られた事もあった。同期やチームにもたくさん迷惑をかけた。虚無感の中ただ練習をこなしていた事もあった。

 

今振り返ると後悔と自責の念しかない。
自分の小さなプライドが邪魔をし、人間的にも選手としてもア式色に染まれなかった。
そしてそんな自分ではチームに、後輩に、何も伝え残せない事にも気付いた。

 
先週末の慶應戦、我々はプライドを捨て
「絶対残留 一部死守」
のボードを掲げて臨んだ。
しかし敗れた。
 
もう本当にあとがない。残り10日もないかもしれない。まず今週末の桐蔭横浜戦に勝たなければならない。
 
かけがえのないものほど本当に失いそうになった時、他のものが目に入らないくらいの大切さに気付く。
 
私はこれまで失ってからその大切さに気付くことが多かった。
でも今回は失う前に気付けた。
だからもがく。あがく。ださくても。醜くても。格好悪くても。

 
あれほど逃げ出したかったア式を辞めたくない、まだ皆とサッカーがしたい。
80人を超える大学生が本気で一つの目標に向かって毎日を過ごす。
大の大人が時間を割いて学生の声を聞き、意見をぶつけ合い、本気で指導してくれる。
何時間もミーティングして、人の為に涙を流しながら思いを伝える同期がいる。
そんな、3年半普通に過ごしていた環境が当たり前じゃないと嫌でも気付かされている今、私は誓う。

 

残り10日、
私の15年のサッカー人生、22年の東浦壮一朗の人生を懸けて、
チームの為に、後輩の為に、
プライドを捨て、なりふり構わず、死ぬ気で、
一部残留という結果と、私がチームに後輩に一つでも多くのものを伝え、残す事を。