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インカレ特集〜四年生の想い・野口彩花〜

 

日本一になるために、マネージャーが出来ることって何だろう?

「頂」というスローガンを掲げ、今年も当たり前に日本一を目指すア女の中で、
私は暫く、この問いの答えを見つけられずにいた。
いくら考えても、これだ!という綺麗な答えにたどり着けない。
どれも、身体を張って勝利を掴みに行く選手の頑張りに、釣り合うとは到底思えないから。

4年生だから今まで以上に頑張りたいのに、何をすれば良いのか全くわからなくなった。
考え込むうちに、
満足のいく答えを見つけられない=私にマネージャーは向いていなかった と結論づけた。
それでも、ア女を今更離れることは考えられず、同時に主務だからそう簡単に投げ出すわけにもいかず、惰性で過ごした時期があった。
心は追いついていないのに、何と無くやっている感を出せてしまう主務という立場も嫌だった。
ア女のことが大好きで、尊敬する気持ちに偽りはなかったけれど、
正直この期間は、選手からの「ありがとう」が上辺に聞こえてしまったし、
試合に勝っても負けても、他人事で自分の心は大して動いていなかった。

でも、関カレの優勝をギリギリで逃したり、関東リーグ11連覇を達成したりと、
シーズンがどんどん進むにつれて
再び、私もチームの結果に悔しさや喜びを感じるようになっていた。
仲間の気持ちを思うと、自分の心も動くようになっていた。
シーズン初めの純粋な自分が戻ってきているのを感じた。

はじめの問いに対して、綺麗な答えが見つかった訳ではない。
でも、一つ大切なことに気がついた。
あの問いへの答えは、日本一になるその瞬間まで必死に探し求めるものだった。
日本一になるためにすべきことが決まっていたら、誰もスポーツに夢中にならない。
綺麗な答えなんてあるはずがなかったのだ。

このことに気づかせてくれたのは、
言うまでもなく、ア女のみんなだった。
ポジティブに振る舞う裏で、実はめちゃくちゃ悩んで考え続けた同期。
いつも優しく笑っているけど、心の中でそれぞれの感情と戦っているスタッフ仲間。
勇気を持って私たちに想いをぶつけてくれた3年生。
まだ見ぬインカレ優勝の景色を楽しみに部活にサッカーに必死に向き合う1・2年生。
そんな学年も立場も状況も異なるけれど、どんな時も必死に頑張るみんなの姿が、
私に初心を思い出させてくれたのだ。
過去に日本一を経験していても、その方法で今年も日本一になれる訳ではない。
そこへの道筋は決まっていないから、毎年あらゆる方法を必死に探るのだ。

せっかちな私は結論を急ぎ、捻くれて、大事な時間を無駄にしてしまった。
それでも、私にだって今シーズン少なからず積み重ねたものがあるし、チームで合わせたら相当なものを積み重ねて来たと思う。
どんなに後悔しても失った時間は取り戻せないから
残された時間が少ない今はもう、これまでの自分たちを信じて、前を向いて進むしかない。

待ちに待った最後のインカレを、3日後に控えている。
インカレのメンバー表も届いた。新幹線チケットも私の手元にある。
これまで必死に頑張るみんなの姿を、私は一番近くで見て来たから。
最後は絶対に、あの最高な景色を見て欲しい。
さあ、今シーズンの成果を確かめに行こう。

マネージャーは、プレーをしない分、
誰よりも周りに目を向けることができる、耳を傾けることができる。
みんなの良いところ、尊敬できるところを今からもっともっと見つけて、
最後までみんなを信じて、一番近くで応援する。

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毎年掲げる目標、「日本一」。
それを実現するたったの1チームになるための過程に
ここまでくれば、
ここまでやれば、
そんな答えは存在しない。
でも、だからこそ、
彷徨いながらも向き合い続ける答えのない問いに、
サッカーに、彼女たちは夢中になるのかもしれない。
マネージャーだからこそ言えなかったことも
マネージャーだからこそ吐けなかった弱音も
きっと、あっただろう。
それでも彼女が仲間や自分と向き合い、考え、悩み、選んだ時間が
彼女が日本一のマネージャーになるまでの道を作っている。
彼女が目指し続けた大舞台が、すぐ目の前まで迫っている。

阪本