diary-women

「ア女にいる私」vol.7 菅原貴幸

今日の担当は、4年生菅原貴幸です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ア女にいる私」
このような形で自身の思いを綴ることに若干の抵抗がありますが、頑張って書いてみようと思います。(この際チームメイトに言ったことのない内容も入れてみます。)

まずは早稲田大学ア式蹴球部女子(以下ア女)に入部したきっかけから振り返ってみます。「何かスポーツに関わることをやってみたいな」という漠然な考えから新入生オリエンテーション後に公認サークル『WATS』主催のトレーナー募集イベントに参加したことがア女について知るきっかけでした。そのイベントには合計20チーム程のトレーナーを募集するチームが並んでいました。ア女もその中にブースを設けていましたが、その時の自分には『ブースを出している』チームでしかありませんでした。ブースに足を運ぶつもりもなかったのですが主催者の方に誘われて自分の意志で話を聞いたとは言えませんでした。
そこで人生の中でも大きな分岐点の一つですね、前ヘッドトレーナーの越水さん(現名古屋グランパス)の言葉が今でも忘れられません。「女子チームを選択肢から除外していない?」この言葉が胸に刺さりました。それまでの自分には『性別』という差異にとらわれ過ぎていたのかもしれません。競技者以外でスポーツに関わろうという考えからイベントに参加しましたが、それまでの経験からマネージャーが真っ先に浮かびましたが『マネージャー=女性』のイメージが強すぎました。ましてや女子チームに男子のスタッフなど考えもしませんでした。しかし、なぜこれまで考えもしなかったのかを考えてみると、自分の中に潜在的な偏見を感じました。ここで考え方が変わりましたね、「別に性別関係ないな」この考えを元に所属チームを選ぶことで選択肢をざっくり2倍に増やしてくれました。その中でもチームの体制(学べる)が整っていると思えたのでア女を選びました。
(この段落はセンシティブな内容あるので苦手な人は飛ばしてください)
次に入部してからつらかったことでも話してみます。まずは、なんといっても自己紹介ですね。「早稲田大学ア式蹴球部女子の菅原です。」と伝えると驚いた表情の後に「え、女子チームなの?!」これはもう鉄板ですね。ここまでなら良いのですがやはり心無いことを言いてくる人もいました。「どうせ身体目当てなんでしょ?」「選手とそういう関係になったりしないの?」正直、つらかったです。女子選手ではなく一人のアスリートと関わっています。質問してくる人は軽いジョークのようなものだったかもしれませんが、そんな不純な動機で選んだチームではありません。そして何より、選手に対してそのような印象を与えるきっかけに自分がなっていることが嫌でした。そんな質問をされる度に辞めたくなる気持ちもありましたが、ここで辞めてしまうと後ろめたい印象をチームに残してしまうと思ったのでできません。辞めたいという気持ちがあったのは事実ですがこの際隠しても仕方ありません。逆にここに書くことで自分と同じような境遇の人がいた時に少しでもこの感情が共有でき、心の支えになれば良いなと思っています。

次に入部してから難しかったなと感じたことを書いてみます。いくつもありますが、その中でも『性別』と『サッカー』について話してみたいと思います。まずは『性別』から。「性別関係ないって言ったじゃん!」とツッコミを受けそうですが、正確には『関係ないように相手に感じてもらうように配慮する』かもしれません。どうしても最低限必要は存在します。選手にとってプレーに関係のないところで気を遣わないでほしいという想いから敢えて今までこういった性別のことには触れてきませんでした。しかし、私がア女で活動する中で最も大切にしている部分ですし、『ア女にいる私』と銘打って綴るからには欠かすことのできない内容です。言葉選びや雰囲気づくりは他の学生スタッフの言動、選手間の何気ない会話の中から拾うようにしています。次に『サッカー』ですね。実はサッカーは体育の授業以外やったことがありませんでした。(なんなら競技の中で最も苦手でした)実体験に裏付けられる言葉に人は興味を惹かれるような気がします。私にはその経験が全くないために選手に十分に伝えられることが多くありません。ましてや選手に教わることのほうが多く不本意なトレーナーであるかもしれません。そんな状況の中でこそ、選手と建設的なコミュニケーションが取れているのではないかと思っています。『無知であるがゆえに選手から言葉を引き出せるかな』そんな役割になってもよいのではと逆に楽観的になるようにしています。

リスクや周囲の目を気にするこれまでの自分には、『日本一を獲る』という目標を立てることはできませんでしたが、今ならその目標も叶うような気がしています。ア女の主役では決してありませんし、主役になりたいとも思っていませんが、半歩後ろから主役の背中を押すことができれば良いなと思っています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

以上です。
明日もお楽しみに。
阪本