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「東京五輪開幕を前に」

いよいよ今週、東京オリンピックが開幕します。
他体育各部の学友や校友、そしてア式蹴球部OBの相馬勇紀先輩も日本代表として選ばれています。早稲田大学に在籍し、大学スポーツに取り組むア式蹴球部を代表して、主将の田中雄大が開幕に向けて思いを綴ります。

「東京五輪開幕を前に」

        早稲田大学ア式蹴球部主将 田中雄大

開催直前にも関わらず、東京五輪の開催に関しては、様々な意見がある。

本来スポーツが生み出すものは、「お金」では買えない。だから、スポーツを通じた平和の祭典である五輪も、お金で動くような、お金に動かされるような、お金のための開催になってはいけない。そうなってしまったら、本来のスポーツの価値を生み出すことは難しい。だから今、人々の共感を得にくくなっているのではないかと思う。

また、安心安全へのリスク。命が最優先である中で、リスクは多岐に渡り、複雑で、安心安全は約束されるものではないかもしれない。だからこそ、そのリスクに対して心を繋ぎ、心で準備をし、最善を尽くすしかないと思う。

開催に対して様々な意見があることへの自分なりの理解や自分自身の気持ちがあるものの、同時に、少し寂しい気持ちも抱いている。

私は幼い頃にスポーツに惹かれ、育てられ成長してきた。どんなに苦しくても、スポーツで得る感動や歓喜に奮い立たせられてきた。スポーツがあることで、多くの人が繋がり、心がひとつになることを実感してきた。

スポーツは「心を動かすもの」そう私は感じる。このような状況だからこそ、私はスポーツの力を信じたい。五輪は「特別」なイベントだけれども、「日常」にあった豊かさを取り戻し、少し離れてしまった人と人との心を繋ぎ合わせる、心を動かすものであると信じている。

綺麗事のように聞こえるのかもしれない。しかし、我々が現在所属している大学サッカーの舞台は、お金を稼ぐことが目的ではないからこそ、スポーツがどうあるべきか、スポーツの価値に対し、真っ直ぐに、本気で、向き合える場。これから迎える東京五輪、そして日頃の活動を通じて、社会の中に生きる1人の学生アスリートとして、考え行動し続けたい。