自分はこの組織が嫌いだった。
いや、正確に言えばこの組織が作り出す雰囲気が嫌いだった。
チームが苦しいときには苦しい顔をし、その場にあった表情をしなければならない。
そんな真面目で堅苦しい雰囲気が嫌でしょうがなかった。
自分はみんなが右を向けば敢えて左を向くようなひねくれた性格をしている。
そんな自分がこの組織に馴染めるはずもなくこれまで何度も辞めたいと思った。
ただ自分はサッカーが大好きだし、もっと上のレベルでプレーしたいと思う気持ちが何度も自分を踏ん張らせた。何より支えになったのは家族、友人、かつてのチームメイトの励ましだった。応援してくれる人たちのために何とか試合に出ようと思った。だが待っていたのは今までのサッカー人生で経験したことないほどのケガの連続だった。その結果自分はこの3年間さまざまな人の期待を裏切り続けた。それがなにより悔しかったし、情けなかった。この3年間でサッカー選手としての充実感を得たことはない。
だがそんな自分にもサッカー選手として幸せだと思うことがある。
それは自分以上に自分のことを信じてくれる人がいるということ。弱気になったときに「お前ならもっとできるはずだ。」と本気で言ってくれる人がいる。これは自分の中ではサッカー選手としてこの上ない幸せだと思う。こういった人たちとの出会いこそが自分が短いサッカー人生で得た財産だ。
そんな人たちに感謝を伝えるのが自分の大学生活のラストシーズンである。どんなことがあっても自分は自分を信じ続ける。
そして必ずお世話になった人たちに恩返しをする。
さらに、1年後の引退するときの自分を小学生、中学生、高校生の自分がそれぞれ見たときに「お前すげーな。」と言われる人間でありたい。過去の自分が一番自分に対して厳しい目を向けてくると思うからだ。
最後に1年での一部昇格は自分たちの使命である。伝統は背負えば重いが、時に大きな力となる。自分たちはこのア式蹴球部の伝統を大きな力として全員で背負って闘う。そして必ずみんなで笑って来シーズンを終える。