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「小成は大成の壁」 2年・鍬先祐弥

 

🌟鍬先祐弥(クワサキ ユウヤ)
⚽️長崎南山中学校 → 東福岡高等学校

 


 

 

「小成は大成の壁」

本来の言葉としては、「小成は大成を妨げる」という意味ですが、ここではあえて「妨げる」ではなく「壁」と表現させていただきます。

 

 

私はいままで多くの壁にぶち当たってきました。試合で活躍できて、なんとなく上手くいっていると感じた時に、だいたい何かしらの壁にぶち当たります。壁にぶち当たることが決して良いことだとは断言出来ませんが、サッカーで高みを目指していく中で、私にとって壁とはなくてはならないものであり、多くの気づきを与えてくれます。

 

今年からスタッフが入れ替わり、関東リーグ前期第2節の筑波大学戦からスタメンに抜擢され、そこから出場機会を得るようになりました。チームも前期優勝し、個人的にも上手くいってると感じていました。その結果のおかげで、私は8月の全日本大学選抜のイタリア遠征メンバーに選出していただきました。大変光栄なことで、頑張ってきたことが少し報われたと感じました。そこでの選抜の出来も悪くなく、俺にもできるというある程度の手応えを得ました。それこそ「小さな成功」でした。

 

 

私のプレーの特徴は、運動量と守備力と展開力です。常に上に行きたい、そのために何が必要か、自分なりに考えています。その結果、新しいこと、苦手なことにチャレンジしていきます。選抜から帰ってきた私は、得意ではないゲームを作る部分やゴールを奪うための効果的な縦パスにチャレンジしていこう思い、行動に移しました。そこでも、ある程度出来ているという実感がありました。それも「小さな成功」でした。

 

そんな「小さな成功」を手応えとして感じて迎えた関東リーグ後期開幕の明治大学戦。夏の王者相手に攻守両面で圧倒され、結果は1-6で敗戦。チームはもちろんのこと、個人的にも何一つ通用せず、力の無さを改めて痛感しました。私は正直、露頭に迷っていました。何をしてもいいイメージが浮かばないし、体も動かない、と。

 

そのような迷いや不安を抱えたまま迎えた次戦の桐蔭横浜大学戦。そこでも、私は全く自分のプレーを表現することが出来ず、ましてや相手にPKを与えて流れを渡してしまい、その試合の引き分けという結果は自分のせいと言っても過言ではありませんでした。完全に自信を失っていました。自分が出ないほうがチームは勝てるのではないか。そのような葛藤と戦っていました。

 

私は何か行動を起こさないといけないと思い、岡田主将にサッカーのことについて相談をしました。そこで、私はいま何ををすべきなのか、チームのために何ができるのか改めて考えさせられました。そこで、私は気づきました。「小さな成功」を意識するがあまり、1番大事な自分の特徴である運動量、守備力、展開力を見失っていたこと。また、「大きな成功」を収めるためにチャレンジしていたことがむしろ壁であったことを。

 

 

そして頭を整理して迎えた第14節の専修大学戦。チームも後期開幕してから白星が取れていない苦しい状況の中、ここで自分の存在価値を証明できなければ、この先はないと思い、試合に臨みました。戦況は一進一退で非常に厳しい試合展開でしたが、3-2でなんとか勝ちきり後期初の白星を勝ち取りました。個人としてのパフォーマンスに満足は出来なかったですが、今出来ることを精一杯やりきれて、自分の中でいい方向に何かが変わったと確信できた試合でした。その試合後、岡田主将からある一つの言葉を授かりました。それが、「小成は大成の壁」です。この言葉は非常に私の心に刺さり、これからの人生で大事にしていきたいと強く感じました。

 

私の夢はプロサッカー選手になり第一線で活躍することです。しかし、その夢の過程で壁は付き物であります。私はその度に確認しなければなりません。「大きな成功」のための「小さな成功」に囚われていないか。「小成は大成の壁」この言葉は、常に地に足をつけさせ、謙虚に、私の夢に向かって突き進む大きな糧になってくれると信じています。