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30周年企画《OG連載》2020年卒 高瀬はな

こんばんは!本日のOG連載です!

今回は2年前に卒業された高瀬はなさんに協力していただきました!オフシーズンはア女のトレーニングにも参加してくださり、新たな刺激を与えてくれた1人です!

【高瀬はな(たかせはな)2020年卒】

1997年7月31日生まれ。8歳からサッカーを始める。小学生時代は地元の男子チームに所属し、中高生ではジェフユナイテッド市原・千葉レディースに在籍。大学時代ではインカレ2連覇を達成。最高学年時には主将を務めた。早稲田大学卒業後はスペイン2部リーグC.D.Parqesolに所属し、プロサッカー選手として活躍する。

大学時代を通して得てきたこと、卒業後のスペインで新たに得たこと、今の私たちよりも俯瞰した視野を持つ高瀬さんにたくさんの想いを綴ってもらいました。

 

今回ア女のOG連載企画に参加させていただくことになりました、高瀬はなと申します。プロフィールにある通り、2020年度に早稲田大学を卒業し、現在はスペインの2部リーグに所属するチームでサッカーを続けています。

まずはじめに、歴代の先輩方が集うこの企画に私も一卒業生として参加させていただけることをとても光栄に思います。私の卒業生としての経験はまだまだ未熟で、皆さんにお話しできるほどの価値があるかはわかりませんが、学生時代と、環境が大きく変わり発展途上真っ只中の今の私のそれぞれの心境などについて少し知ってもらえたらなと思い、これを書くことに決めました。

では本題に入ります。

これを読んでいる皆さんも既に身をもって経験しているであろうことですが、人生は選択の連続です。そして、それによって今後の自分の人生が大きく変わるとなれば、たとえ魅力的に感じる部分があったとしても、決心するにはものすごく勇気がいりますよね。ア女に入るまでの私も、勇気がなくて挑戦できなかったことがたくさんありました。

そんな私がア女での生活を通して、何かに挑戦するために必要だと気付いたことがありました。そのうちの一つが、”知識を再構築する”ことです。

ありがたいことに、ア女、そして早稲田大学という環境では、競技問わず色々な専門分野の知識を持った人や色々な考えを持った人に出会えることが珍しくありませんでした。例えばコンディショニングの面では、フィジカルトレーニングの知識や栄養の知識を持った人に直接指導してもらい、自分のコンディションを整えるための参考にしたりしていましたし、チーム内では選手としてのあり方を言葉や行動で示してくれる仲間からも多くのものを学びました。

でもここで一つ大切だったのは、それらを”自分の知識”として再構築する作業を怠らないことです。先ほども言ったように、教えてもらったことは”参考”にしますが、鵜呑みにはしないこと。たとえ栄養やフィジカル面における専門的な知識を持った人から何かを教わったとしても、それが全ての人に120%同じ効果が出るということはほぼあり得ないからです。チームの雰囲気作りやチームメイト同士の関係でも同じです。それぞれの性格、特徴を最大限に活かすためのアプローチがみんな同じで良ければ苦労はしません。だから、知識として頭に入れたら、次は身体を動かしてみる。実際に、それを試してみる。試してみたら、あ、これ自分には全然合ってない…‼️という結果になることもありました。でもこれは、自分に合った1番いい方法を探すための「過程」であり、失敗でもなんでもありません(当時は結果が出なくて落ち込んだこともありましたが…)。そうして経験を積み重ねていくことで、身体的にも精神的にも、自分がどんな人間なのかが少しずつ自分で理解できるようになったのだと思います。

こうやって心身共に自分のことを知り、自己コントロールできるようになってくると、思いがけず舞い込んできた挑戦の場でも、自分の良さを発揮できるようになります。

私の場合ア女で何かを決心するのに1番勇気が必要だったのはやはり主将になることでしたが、それを決心できたのも、それまでの経験がこの高いハードルを飛び越えるための足場を作ってくれていたからでした。

主将としての経験値はゼロで、そもそもそれまでの経験だって主将になるつもりで積んできたわけではありませんでしたが、ドラえもんのポケットから探すみたいにそれまで培った経験からあれやこれやと引っ張り出してフル活用し、その時のチームにとって最善の策となるものを見つけていくことで、少しずつ、不安やプレッシャーに耐えうる自信が身についていったのだと思います。

誰もが主将になれるわけではないからこそのプレッシャーも達成感もありますし、逆に主将にならなかったら良い経験ができなかったということも一切ありませんが、今こうして振り返ってみると改めて挑戦できて良かったなと思いますし、いつも近くで支えてくれた家族や同期、チームメイト、スタッフの方々には本当に感謝しています。

(↑写真右)

やってみないとわからない、何事も挑戦、などの言葉があるように、未知の世界に踏み入ることを怖がって挑戦しないのは確かにもったいないことかもしれません。でも私の場合は直感や衝動だけで物事を決めたり、自分の能力をあまり把握していない状態で、未知なる挑戦をする度胸はありませんでした。だから、私にとって色々な経験から自分を理解する作業はとても重要で、これは今も同じです。

自分のことをよく理解できていないから挑戦するのが怖い。一見、自分で挑戦を閉ざしているようにも捉えられますが、その逆です。挑戦の幅を狭めるためではなく、よりその舞台で自分の力を発揮するための準備であり、自分の強みと弱みを自分が理解しているというのは皆さんが思っている以上に、大いに役に立ちます。そして、その挑戦でより力を発揮できれば、さらに新しい自分を見つけることにも繋がります。私が高校生の時決断できなかった海外でチームを探すことを決断できたのも、学生時代に積んだ経験によってそれまで知らなかった自分の強みを知ることで、自信を持てるようになったからだと思います。

だから、これを読んでくれている学生の皆さんには、今持っている知識を自分の知識に変換する作業をたくさんして欲しいなと思います。自分で体感して、物事の良し悪しを判断することは海外に住んでいると改めて大切なことだと身に染みて感じますが、おそらくどんな環境にいても自分のためになることだからです。ア女は常にトップを目指している集団だからこそ、時に失敗したくないという気持ちからリスクの少ない方の選択をしたくなることもあるかもしれませんが、皆さんが今取り組んでいること、経験していることは知らない間に既に大きな財産になっています。だから、もし挑戦するかを迷うことがあっても、それまでの経験から自信を導き出せること、一歩踏み出す力になることを忘れないでください。その挑戦の結果に関わらず、必ず新しい自分が見つかっているはずです。

ちなみに、スペイン2年目の現在の私はというと、日常会話は一年目よりもスムーズになってきているかなと感じる一方、慣れない場所で突然話しかけられたりすると咄嗟に言葉が出てこないということはよくありますし、サッカー面でも自分が要求したいことをうまく伝えられないこともまだ多くあります。要するに、言語の面ではまだまだ未熟です。

でも、サッカーだけでなくスペインという国の文化や気候、人、街、暮らし、食事、色んな面で自分に合っているなぁと感じられることも多く、幸いホームシックになったことはここで生活するようになってから一度もありません。

もちろん周りの価値観や文化の違いに驚くこともありますが、自分で選んだ道であれば環境のせいにするのは論外ですし、思い通りにいかないことがあってもむしろもっと成長するチャンスだと思って日々戦っています。

そして、海外で生活するようになった今、学生当時の心境と大きく違う点が1つあります。

それは、”柔軟性”の重要度です。もちろん日本国内にいても柔軟性はあれば役立つものですが、どちらかと言うと学生時代はブレない自分の芯や軸をしっかり持つことに重きを置いていました。でもここに来て、今までと違った価値観を受け入れる柔軟性、適応力や対応力とも言える力は私の中で優先順位がぐんっと上がったと思います。いくらそれまでに色々な考え方や知識に触れてきていたとしても、初めて海外に住めば当然全てが新鮮に感じられるものです。日本にいた時には共有できていた価値観を共有できなくなると、自信を持てるきっかけとなったはずの経験も通用しないのではないかと感じたこともありました。

うまく言葉で表現できないのですが、それに対して私がここにきてから実践しているのは、どんな困難にも耐えうる強いメンタルを作るとか、我慢する、と言うことではなく、”うまくかわす”、”流れに乗っかる”という表現に近い考え方を持つことかもしれません。真っ向勝負でそれらに逆らうのではなく、うまくその流れに乗って、追い風として利用する。その国の文化や価値観を知ろうとすること、それを受け入れることは、いずれ選手としての成長をも手助けをしてくれるものになると思っています。

もちろん自分の譲れない部分やブレない芯を貫くべき局面もありますが、その場所で生きていく術はその場所で学び、身につけていくというのが今の私の考えです。

ここまで、学生時代を振り返りながら今の心境も含めて長々と書かせてもらいましたが、きっとまたこれらの考え方もこの先の経験を通して新しく塗り替えられるかもしれません。ただ、学生だった当時だけでなく今現在も、ア女のOGの方々の幅広い分野での活躍は私にとってとても刺激になりますし、今の学生にとってもそれは同じだと思います。だからこそ、卒業生という立場に立っている今、学生が目指したいと思える姿を示していくことができるよう、私自身も挑戦を続けていきたいと思います。

まさに数年前の「四年生の想い」を思い出させるようなまとまりのない文章になってしまいましたが、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

最後に、ア式蹴球部女子部30周年記念、本当におめでとうございます。これからもア女の活躍を心から願っています。直接試合を見に行くことができず残念ですが、いつも応援しています!

「人生は選択の連続」選択肢の段階では正解や不正解を見つけることはできない。しかし、選んだ先を正解にすることはできる。ア女現役時代もスペインリーグでもたくさんの選択をしてきた高瀬さんは、親しみやすく、頼り甲斐のあるOGの1人です!この度は、素敵な文章をありがとうございました!オフシーズンになったらまたグラウンドに足を運んでください!ア女一同、心より応援しております。

明日のOG連載もお楽しみに!

編集:井上