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4年生の想い『しあワセダ』井上萌

本日の担当は#8 井上萌です!

サッカーで、どん底を経験した。
サッカーで、この上ない幸せを経験した。
サッカーは、私を狂わせる。
悪魔なのか天使なのか分からない。

メンバー外になるとき、
練習試合にすら連れて行かれないとき、
3日坊主の自分がいたとき、
苦手なフィジカルについていけないとき、
練習にすら混ざれないとき、

自分の無力さに絶望する。

全部、サッカーのせいだ。お前が私を苦しめるんだ。私の心が荒波を起こす。

それでも、

ア女を辞めたいと電話した1週間後には、自分に向き合う自分がいる。
「苦手なことから逃げたくないから」と言葉にしている。
生活の全てをサッカーにかけたいと思う。

こいつは、私をここまで変えてしまう。

なぜか。

相手の逆をついたとき、
やばいって顔をしている相手をみたとき、
ゴールネットを揺らすとき、
味方が抱き合うとき、
訳もわからない雄叫びが上がるとき。

この瞬間が気持ち良くてたまらないからだ。

言葉にできない高揚感が、私の全身を巡って全ての温度を上昇させる。
心身キツいはずなのに、身体に何かが入ってくる瞬間がある。
どうしようもないはずなのに、死ぬ気でゴールを守る自分に出逢う。
もう伸ばせないはずなのに、足を伸ばす自分に出逢う。
走れないはずなのに、スプリントしてる自分に出逢う。

90分間で、知らない私に遭遇する。
スポーツって凄いなと感心してしまう。
心を動かすことができる。
生きる希望を与えることができる。
夢を与えることができる。
それは、スポーツをする自分にも、
していない誰かにも言えることだった。

私はもうすぐ、ア女を去らなければならない。
何度願っても、
幾ら上手くなっても、
どれだけ自分を追い込んでも、
もう、早稲田のエンブレムを背負うことも
臙脂のユニフォームに袖を通すこともなくなる。

来年のア女のみんなへ。
競創を掲げた今年。
皇后杯ベスト8、インカレ優勝を目標にした。
皇后杯で負けた夜。今、書き足す。
競創っていうのは、文字のまま。競うことで、チームを創り上げる。
私が提案した。
まずは、自分自身に負けじと競うこと。
味方をライバルと見做し、切磋琢磨すること。
ア女のゲバルトを戦場とすること。
こうやってチームを創りあげようとした。
そして、WEを目の前にした。
あと1歩まで追い詰めた。
90分間健闘した。
でも、負けたね。
私たち、足りなかったんだよ。
0-1。
スコアがそう言ってるから。
来年のア女が、どんな目標を掲げるかは3年生しか知らないと思う。
もう一度、皇后杯ベスト8を目指すのか、
今の私は何も知らない。
ただ、WEを倒す為には
あの練習では叶わなかったこと。
あの競創では、越えられなかったこと。
これをどう捉えるかは、みんな次第だと思う。

4年間。
最初から終わりが決まっていて、
これから最後の節目を迎える。
もえ、本当に後悔はない?

みんなでフィジカルした日、
電気が消えるまで自主練した日、
練習前に死ぬほど走った日、
辛さははピッチ上で感じ取った。

涙が止まらない帰り道、
布団に入っても寝付けない夜、
グラウンドへの足取りが重いとき、
思ったよりピッチ外にも浸透していたな。

それでも4年間、歩んできた。
少しずつ、少しずつ進んだ。
こんな日々はもう戻って来ない。
私にとってア女は
嬉しいときよりも辛い方が多かったと思う。
楽しみ始めた頃には卒部のカウントダウンだ。
ずるいなぁ神様は。
もう戻りたくない日でも
戻りたいと思ってしまった。

最後笑えるのなら、
日本一獲れるのなら、
私は私の歩んだ道に後悔はない。
だって側には人生でいっちばんの仲間、スタッフがいる。そしてどんな時でもみんなで乗り越えてきたから。最後も一緒に戦いたい。

1年生、初めての部活でも必死についてきてくれる。苦しい時期もあるよね。それでも、プライド持って闘う君たちを尊敬しています。

2年生、試合後に涙を流して、向き合って成長しようとする姿、たくさん刺激を受けました。本当に心強いです。

3年生、気配り上手で自分だけの領域じゃ止まらない。あなたたちが側にいなかったら崩壊してた。何度も何度も気づかせてくれてありがとう。

4年生、ずっとずっと背中で示してくれてありがとう。たくさん自主練習したよね。ずっとサッカーのこと話したよね。正面からも向き合えました。大好きです。

塙さん、ずっと信じてくれてありがとう。
内田さん、なんでも話せました。たくさん練習できて嬉しかった。
西岡さん、足速くなれているよ。すごく嬉しい。
御所園さん、減量できたよ。パフォーマンスにすごく影響してる。
根津さん、べーさん、いつもケアありがとう。1年間怪我なくプレーできてるよ。
はるさん、まだヘニョヘニョだから宜しく。

りょうさん、いつもパスしてくれてありがとう。りょうさんとの挨拶はインサイドパスから始まるね。なんでこんなにもりょうさんとのパスは飽きないんだろう。またパスしながら答えを見つけましょう。

史さん、サッカーを教えてくれてありがとう。監督してくれてありがとう。たくさん可愛がってくれてありがとう。諦めないでくれてありがとう。やっとここまで来れました。わたしが本当に尊敬する人です。スペイン行っても分からないことLINEしますね。「うちじゃなくてスペイン人に聞けよ」なんて言わないでね。

4年間。
ここには書ききれないほどの人と出逢った。
早稲田、サッカー、ア女。
それらが重なって巡り合えた小さな奇跡かもしれない。
最後の最後まで大切にして、これからもずっと大切にすると思う。
ありがとう。

あともう一つ。
サッカーを、自分自身を、別の角度から観たいとき。
その俯瞰を教えてくれたのは、
ゼミという空間があったから。
そして、私を支えてくれる友達がいたから。
みんな、ありがとう。

最後、証明する。
このチームが他の大学よりも、なでしこリーグよりも、WEリーグよりも、面白いサッカーするって。

最後まで走るから
最後まで繋ぐから
最後まで負けないから
最後まで守るから
最後まで愉しもう。

さあ、いこう。

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なぜ彼女はこんなにも楽しそうにサッカーをするのだろうか
あれほどサッカーに苦しめられたというのに

それは
自分の弱さと向き合い
食事、睡眠、ケア、身体作りなど
オフの日でも「サッカーのために」
誰も見ていないところでさえも積み上げてきたから
そして、そうやって4年間で描いてきた沢山の点が
ようやく繋がり、太く、長い線となったからだ

“ア女の頭脳”
そう呼ばれる彼女の裏には
人知れずした努力があった
そんな彼女の
圧倒的なサッカーセンス
観る者を魅了する、仲間を最大限活かしたプレーは必ず
インカレ2連覇という
大学生活最後で
彼女史上、最も太く、長く、強い線を引いてくれるだろう
その舞台が目の前に迫っている

津田、黒澤