本日の担当は、1年今野杏凪です!
大きな怪我を経験しても、みんなの前ではいつも前向きで明るい彼女。
過去を糧にし、苦しいリハビリにも立ち向かう彼女の仲間に対する想いとは…
是非ご覧ください!
はじめまして。
今回ア女日記を担当させていただきます、
聖和学園高等学校から参りました。1 年 今野杏凪です。
本日は私が歩んできたサッカー人生を振り返り、
特に高校三年生と大学入学後のサッカー、
そしてこれからについてお話しさせていただきたいと思います。
拙い文章ではございますが、最後まで読んでくださると幸いです。
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聖和学園で過ごした3年間は、私のサッカー人生の中でも特別な時間でした。
特に3年次、キャプテンを任されチームの先頭に立つ立場として挑んだ1年は鮮明に覚えています。
キャプテンとして私が大切にしたのはみんなで考え、行動し、決断していく。
そんな“全員で戦うチーム”でした。
この考えのことを「ボトムアップ理論」といい、
私たちの代から新たに取り入れた聖和学園女子サッカー部の新しい考え方です。
試合前やハーフタイムにはホワイトボードを囲み、
攻守の目標や改善点、良かったプレーを全員で出し合う。
また、大会メンバーの選考も、選手同士で何度も話し合いを重ねて決めていました。
私はその中心で仲間の声を聞き、チームをひとつにまとめることを意識していました。
そしてこの年、チームには新しい言葉が生まれました。
『全国聖覇』。
聖和の“聖”と“制覇”をかけ、
「聖和のサッカーで日本一を掴む」という思いを込めた造語です。
正直、最初はその目標が遠く感じることもありました。
大会で思うような結果が出ず、不安に押しつぶされそうな時期もありました。
しかし、ボトムアップを重ねていくうちにチームの雰囲気は変わっていきました。
一人ひとりが主体性を持ち始め、強豪校を相手にも堂々と戦えるチームへと成長していったのです。
その姿を見たとき、「このチームなら本当に掴めるかもしれない」と心から思いました。
そしていつの間にか『全国聖覇』という言葉は、私にとって“迷ったときに立ち返る場所”のような存在となっていました。
チームが揺れるたび、この言葉を見つめ直すことで、自分の心も整理できた気がします。
そして迎えた選手権。
これまで練習してきた全てを出し切り、準々決勝まで勝ち進むことが出来ました。
迎えた準々決勝では拮抗した試合により決着がつかず、勝負はPK戦へ。
最後のキッカーは私でした。
想いを込めて蹴ったボールは無情にもサイドポストに当たり、ゴールの外へ。試合はそこで終わりました。
3年間追いかけ続けた日本一の夢が終わってしまった。
仲間の涙を見るたびに、自分のせいで負けたという思いが込み上げ、自責の念で胸が苦しくなりました。
それでもそんな私に仲間がかけてくれたのは「ありがとう」の言葉。
勝敗ではなく、ここまで一緒に戦ってきた過程に価値があることを、仲間が教えてくれました。
私はそこでようやく「キャプテンとして最後までやり切った」と思えたのです。
勝敗にすべてを懸けた3年間。
その終わり方は決して望んだものではなかったけれど、
あの時流した涙も、仲間と支え合った日々も、
すべてが今の自分をつくっていると思います。
キャプテンとして過ごした一年は、苦しさの中に確かな誇りがありました。
あの一年があったから、今の私がいる。
そう胸を張って言えます。
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2025年2月15日、私は早稲田大学ア式蹴球部女子の練習に参加しはじめました。
憧れの舞台。胸を高鳴らせながら毎日の練習に励み、試合にも少しずつ出場させてもらえるようになってきた3月、4月。
“大学サッカーでも戦っていけるかもしれない”
そう思い始めた矢先、運命はあまりにも静かに裏切りました。
4月30日、紅白戦。
ボールを蹴った瞬間、左膝に走った鋭い痛み。
あの一瞬の違和感が、すべてを変えました。
「前十字靭帯断裂」
医師から告げられた瞬間、涙が止まりませんでした。
ア女に入ってサッカーができた期間はわずか2ヶ月。
“なんで私なんだろう”と、声にならない叫びを上げ、現実を受け入れることができませんでした。
1年生だから大丈夫、ではない。
残り限られたサッカー人生の大切な1年が消えてしまったという現実に、頭が真っ白になりました。
断裂後、始まったリハビリの日々は地味で、静かで、果てしなく長いものでした。
膝の曲げ伸ばしや筋力トレーニングの単調な繰り返しで、どれだけ頑張っても目に見える成果がすぐにはあらわれないもどかしさ。
グラウンドで汗を流す仲間たちと私とでは違う時間を生きているような疎外感を感じ、気が沈むこともありました。
夏合宿では、仲間が声を張り上げて走る姿を横目に、私はグラウンドの脇でこぼれそうになる涙を必死に堪えながらリハビリをしていました。
それでもその仲間の声が、どこかで私を繋ぎ止めてくれていました。
「戻りたい」と思えるのは、あの仲間たちがいるから。
心が折れかけ、復帰後の自分を思い描けなくなった時も、「私は何をしているんだろう」と悩み夜な夜な涙を流す日もありました。
特に辛かったのは、リハビリでいくら成果が出ても、すぐにサッカーができるわけではないという現実でした。
復帰への道のりは「一進一退」で、少し良くなったと思っても次の日にはまた痛みが戻る。そんな不安と焦りが常に私の心を蝕んでいました。
そんな時、支えてくれたのがア女の仲間でした。
「がんばれあんちゃん!」
「待ってるよ、あんちゃん!」
リハビリをしている私に声をかけてくれる同期や先輩。
手術でグラウンドにいない間も毎日のように連絡をくれたり、励ましの動画を送ってくれたり…。
私はここでア女というチームが持つ〝温かさ〟を全身で感じました。
ふざけあって笑い合える同期、どんな時も気にかけてくださる先輩方。
ア女には人の気持ちに寄り添える人で溢れています。
そして何より、みんなが同じ「日本一」という目標を追いかけている。
そんな環境に身を置けることが
私の幸せであり、かけがえのない財産です。
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今、私は来シーズンの開幕に向けてリハビリを続けています。
正直、今でも気分が落ちて無気力になってしまう日もあります。
けれど、強く思い浮かぶ復帰後の自分。
自由に、笑顔で、心からサッカーを楽しみ、チームに勝利を届けている姿を。
怪我は私にとって大きな試練でしたが、同時に“気づき”でもありました。
支えてくださる人の温かさ。
サッカーができることの尊さ。
そして、立ち止まっても決して消えない、自分の中の情熱。
また、私はこのリハビリ期間を通して精神的に大きく成長できたと確信しています。
グラウンドの外からチームを見つめたことで、自分にできる役割や、勝利のために必要なものは何かを深く考える時間を得ました。
復帰後、私がチームに貢献したいことは、勝利だけではありません。
苦しい時間を知っているからこそ、仲間の気持ちに寄り添い、試合で困難に直面したときも、決して諦めない姿勢でチームを鼓舞できるはずです。
サッカーは結果じゃなく、“誰と、どんな気持ちで”戦うかだと、今は心から思います。
だから私は、もう一度ここから始めます。
これからも、この最高のチームの一員として、私らしく全力でサッカーに向き合っていきます。
そして、どんな時でも仲間と共に前を向いて歩いて行ける自分でありたいです。
最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。
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以上です。
明日もお楽しみに!
小林